伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十七回
英語俳句の部 大賞
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from a small window
small small world
my first flight 訳/ 小さな窓から小さな小さな世界初めての空の旅カナダへ行った時の初めてのフライトで、飛行機が雲より高く飛び、小さな窓から海や大陸が見えた時、世界は広くて大きいという概念が消えて、世界がとてもちっぽけで身近なものに感じました。私にとって衝撃的だったその一瞬をこの句で表現しました。
初めて体験するフライトは誰でもどきどきし、高空からどんな世界が見られるか、かたずを呑むことでしょう。ところが実際は、小さな窓からごく限られた世界をのぞいただけでした。その心のたかぶりと、当てはずれの意外感が率直、端的に表されて共感をよびます。“small”を3度くり返し、語頭にF音を重ねたリズムのよい英語に、気持ちがこもっています。
英語俳句の部 優秀賞
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When father's old motorcycle
hibernates in the garage
winter comes 訳/ お父さんの古びたバイクが車庫に引きこもると冬になる -
My stag beetle in the cage
Crawls out from the soil
It's already summer 訳/ 虫かごのクワガタムシが土から這い出るもう夏だ -
All sparrows
are wearing
their own down jackets 訳/ 雀たちはみんなダウンジャケットを着こんでいる -
Beautiful dandelion
Growing it tore the asphalt
Like a hatching 訳/ きれいなタンポポが生えてアスファルトを破った卵がかえったように -
Sky and city,
I own the world
at 4 a.m. 訳/ 空と市街世界をわがものとする午前4時 -
morning sun
our shadows enter the church
first 訳/ 朝日最初に私たちの影が教会へ入る -
grape harvest
the morning chatter
of starlings 訳/ ブドウの取り入れホシムクドリたちが朝のおしゃべり -
moonlight . . .
rippled water
on rippled sand 訳/ 月光・・・波紋のある砂の上をさざ波 -
a fountain
above the flickering coins
leaves floating 訳/ 噴水キラキラするコインの上に古葉がただよう
英語俳句の部 審査員賞
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first spring sun
along the railway tracks
fresh graffiti 訳/ 立春の日差し線路ぞいに新鮮な落書き句の眼目は3行目の“fresh”で、春来る日の少し強まった陽光の当たる落書きへの感じ方に、ハッとさせられます。いつもは街の汚れと見られがちな落書きも、生き生きと旅心を刺激するかのように見えたのでしょう。意味の上では“first”、“fresh”は重なりますが、頭韻を効かした強調のリズムを生んで佳いと思います。
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She walks to the door
Windshield wipers
waving goodbye. 訳/ 彼女はドアへ歩むフロントガラスのワイパーが別れの手を振る少ない語数で複雑な状況をうまく言い表した作品。雨の中、作者は車内に座り、女性が家に入る姿を見つめている。さよならを告げるように揺れるワイパー。ふたりの別れ。作者が車内に留まったのもそのためだろう。
英語俳句の部 後援団体賞
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migratory birds
key to the summer cottage
under the doormat 訳/ 渡り鳥夏の別荘の鍵はドアマットの下に