伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十三回
都道府県賞
広島県
こまにのりいってみたいなうちゅうまで
たいようが小さくなって雪がふる
革靴の硬さ気にして入学式
陽だまりは猫のしっぽにあるらしい
笑顔にも涙が浮かぶ弥生かな
山口県
春キャベツいつもの焼きそば優しくなる
水玉のながぐつ嬉し通学路
クマよけの鈴がいらないほどしゃべり
小石ひとつ故郷の野に置いてくる
自払機に「はい」と答えし師走かな
徳島県
こがらしのむこうにボールとんでいけ
舞いこんだ私の想い秋風に
春来てよ思い続けて漕ぐペダル
考えるふりのロダンよ冬山よ
ヘルパーに戸惑う猫に冬の雨
香川県
僕の声あの子へ届けて渡り鳥
地べた蹴る足は未来へ向いてをり
とりたてて何事もなき小春かな
ままごとの男の子正座に春の風
ひょうたんに入れた希望は逃がさない
愛媛県
ツバメのすみんな顔出しこんにちは
大根がぼうしをかぶる雪の中
せみがなく耳のすみから夏がくる
寒い日の真赤な鼻と空の青
ゆっくりと夏も電車も遠くなる
高知県
こいのぼり待ってましたと泳ぎだす
大輪の笑顔咲かせて卒業だ
ただいまとランドセルが語ってる
ざりがにや不知火型の土俵入り
誉められるつもりなどなし草の花
福岡県
たまねぎさん切られているのに泣く私
カルタ取り最後の一枚見つめあう
まいあがるあれはきっと雲のはへん
嘉麻峠空いっぱいに冬の星
まっすぐな大人になろうつくしんぼ
佐賀県
赤ペンで僕の今日にも添削を
学校のチャイムに過去の僕と会う
すねた子の口元金魚によく似たり
顔と名のピント合わせる同窓会
百才も赤子も来てるどんど焚き
長崎県
流れ星しゅんかん移動がうまいやつ
鳥は空の光になって更衣
祖母の指す空にはくの字渡り鳥
かねの音が色々響く冬休み
ひと粒の苺に百の物語り
熊本県
「拝啓」で始まる祖母のメールかな
合言葉少し待ってね秋の空
負けないよ笑顔が私の武器になる
春雨の音が揺らめく硝子越し
山笑う私も笑う手弁当
大分県
蒼天を優雅に泳ぐ渡り鳥
竹の音さびれた街にこだまする
茜空言葉失う絵画展
しだれ梅かくれんぼなどしてみたく
菊の香や卒寿を越えて句を学ぶ