伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十三回
佳作特別賞
灯台は母のまなざし鳥渡る
海知らぬ水着のマネキン海を売る
伝ふべく言の葉綴る冬の午後
友のりし車輪の下や別れ霜
白鷺の刈田に群れて筑波晴れ
拝啓の後の躓く暑さかな
干し菜して笊に昭和の風を呼ぶ
栗鼠の瞳をして少年が胡桃割る
若き日の夢かけめぐるどんどの火
お互いの丸い背中へ鬼は外
白菜の黄のあざやかな四半分
友三人八十路を競う御慶かな
魚店に鶺鴒の来る昼下り
眉太き新任教師漱石忌
菜の花や夕日に白き風車群
風に舞い風を回して散るもみじ
主役にはなれず野菊の吹かれをり
子が敵になる日の予感木の実独楽
風呂敷マント仮面ごっこに日脚伸ぶ
葱一本取りにゆくとて卓にメモ
寒そうに出ては引っこむ鳩時計
在りし日に戻れぬ旅の梅眞白
初春や龍の飛び出す襖絵図
出不精のわれに初蝶誘ひ来る
飴切りのトントン拍子日脚延ぶ
鳥渡る灯台守の遠眼鏡
さよならの握手は手袋そっととり
新米を研ぐ十指みなすこやかに
地球儀に国の名増えて春兆す
広広と野をおき去りし帰燕かな
夕焼や愚直な男の昭和歌
ひと息もふた息もつき蓮枯るる
いつの間に八十路になったもがり笛
平泳ぎつかれてカエル岸につく
節分の豆播く声もはにかみて
ジャンボ機で来て鉢巻をして松手入れ
言いたきを胸におさめて蜜柑むく