伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第二十三回
佳作特別賞
書初に挑めば龍が墨を跳ね
桜舞う遠き乙女の淡い恋
木枯を淡海に集め波尖る
アンテナは恋のゆりかご鳥交る
村捨てぬ覚悟の神楽笛を継ぐ
青嵐洗濯物の逆上がり
われ先に乳うばい合う子猫かな
子ら去りて元の空き地や空っ風
妻の膝は猫の臭いがして小春
秋空へ円盤投げの声が飛ぶ
子供らが獲物争う川遊び
ジーンズの裂け目が主張若い春
素つぴんのままがいいんだ白椿
花びらも混じりておりぬ募金箱
明けの鐘が春一番に乗ってくる
軒氷柱垂直という律義さよ
山眠る子供の落書そのままに
帰省子の深き一礼搭乗口
石なげてひろがる水輪春愁
夫つくる味噌汁の葱太きこと
ネジ少し弛めたところが我居場所
幼稚園すみれたんぽぽお昼寝中
芒野の私はただの点景だ
水打って草木匂える夕餉かな
回覧板藁納豆を下げて来る
道おしえ振り向く先に夢があり
バンカーの球すかーんと春一番
溶けぬ間に都会へ連れ出す雪女
新涼や柳は風の湧くところ
絵馬むすぶ親子の背に春の雪
新年の三日坊主も板に付き
ふんだんに春積んで行く一輪車
下駄音も疲れ踊の果となり
弁当となりて静まる遠足児
プロポーズ受けて飲み干す新茶かな
ひとかどの人間になり大根蒔く
実柘榴の落ちて濁世を大笑い
太陽は父母の如日向ぼこ
胡桃割る古人に思ひ馳せ
煌めいて棚田をつなぐ落し水
言いたきをこらえて林檎剥きにけり
門限も恋には勝てぬおぼろの夜
平凡を満足として日記果つ
心底を貫くものに寒月光
小春日やふれあい市の椅子は箱
背くらべのように並んで葱坊主
日向ぼこ死なぬつもりの顔ばかり
抽き出しを開けてとり出す春の海
不戦論目刺は頭から食べる
棒持てば少年となる枯木山
