伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十三回
佳作特別賞
母さんが大好きやけど言えんのよ
人生は巡りめぐって道になる
乳飲み子の乳に添えたる小さな手
あの夏のビキニギャルが妻になる
じじばばにちちははがいて大夕焼
オリオン座澄んだ空気が心打つ
風薫る遠い記憶の子守唄
朝起きて太陽のように笑いたい
つるし柿出生率を弾き出す
シリウスを見てるあなたと生きてゆく
自我という雑草を摘む夏の庭
凧高く幼少のキオク風にのせ
秋風に揺れる木の葉と我が想い
雲海に足をひたして夏の山
物干しに踊るワンパク風薫る
草苗や芭蕉の恋を探す旅
華やかにおしゃれな着こなし桜の木
夏空をひとりじめする無人駅
帰省後に残る実家のいいにおい
水たまり飛んでよけたの遠い過去
もう一軒古書店巡る秋の暮れ
峠越え還暦父の笑いじわ
パソコンの画面はみ出す子の笑顔
夜空見て子供がはじめる星語り
残業をすれば家まで月の道
畑にてずんぐりたたずむかぼちゃかな
木漏れ日が尖った寒さを丸くする
秋鳥の声が流れる釧路川
雪眺め湖面に映る夕陽かな
虹色に光る氷柱の管楽器
底冷えに夜空の凍る音がする
イヤホンを外し桜の色づけり
星見えるところ探して布団敷く
袖引きて折ってとせがむ千歳飴
子のせがむ絵本で沈む干し布団
ポケットのぬくもりに手を泳がせる
虫眼鏡大人になった私の手
ゴーヤ伸び僅かに上がる北緯かな
朝日浴び出勤前にチャージする
抱きしめた子にたんぽぽの綿毛かな
ともし火に合はす手ふたつ夏の宵
姿見の中で目が合う春の朝
風船の手紙拾った幼い日
塩害に負けず色づく紅葉かな
雪虫がそっと舞う日に手をさすり
君泣くと胸の隙間がツンとする
おじぎ草優しく触る小さな手
山道を地蔵の視線に励まされ
ゆめ二文字空に吹き上げどんど焼き
せりなずな七草よりも今絆