伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十三回
佳作特別賞
積雲を大雪山とみて涼む
暗くても確かに分かる繋いだ手
依然として輝き放つ雨桜
よそゆきの声で抱負を語る春
前髪を切るたび思ふさようなら
生きること本気になれば楽しめる
夏が来た萌える緑に力湧く
生命線握手の数だけ伸びてゆく
白銀の世界で踊る体操服
暁にカンテラ光る海の雪
雪と木のコントラストは浮く墨絵
十七の夏と重なる青い空
もくせいをにおい残して遠ざかる
くしゃみする父の背中に金木犀
大都会自分探しのかくれんぼ
物思うチェロの音色と秋の夜
ひね生姜土の匂いもすりおろす
誰を待つ雪見障子を少しあけ
お茶うけに九十歳のわらべ歌
結論を前に溶けゆく氷水
駅弁に桜舞い降り弾む声
潮風の香る風景独り占め
炊きたての白米ほおばり塩昆布
玄関は家族が通る交差点
落丁の明らかとなる雪催い
春の風ふわふわそよぐ木とともに
雪解けや山が流した涙かな
ハンカチの蝶に吸はせる涙かな
頭がぽーお風呂上りは僕も汽車
期待してポストあけると請求書
春の菜を探してみたら君の名だ
一年生人生初の親離れ
忘れない寡黙な人の優しい目
独り身に情け知らずの冬将軍
日脚伸ぶこれから何を話そうか
田んぼ道せわしく通るとんぼかな
初氷パチンと割れる登下校
白熊の寝てる姿に母重ね
群がりて小枝重かろ寒雀
君想いのどがカラカラ夏の夜
フリージア飾る食卓笑顔かな
白い息疲れも吐き出す一人道
失恋はもう一度来る春の音
湯豆腐やコトコト旅の途中にて
休日のコインランドリー息白し
人生に深呼吸して山笑う
抜け殻が少し切ない夏の午後
霜柱踏んだ思い出この子にも
バス停に音域広し春の鳥
山紅葉誰の恋文届けてる