伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十三回
佳作特別賞
寒月や我が行く道と思ひたり
ウォーキング始めて分かる世の広さ
すき焼きの肉の取り合い冬の陣
鈴虫の振るう羽音や闇夜切る
香水を一滴垂らし十九歳
失恋の頃からずっと花氷
手をのばすお化けに見ゆる枯れ木かな
寝入るまで香り残れるゆず湯かな
ひとすじの雲が恋しき夏の空
竜笛の音冴え渡り鞍馬山
教室の寝顔に当たる冬入日
先を行く人から香る金木犀
猫の声分からないから面白い
確信はここにあります山眠る
蓄えし光をこぼす福寿草
湯たんぽよ私を外へ連れ出して
オリオンを見つけこの街好きになる
妹や青いトマトの味も好き
花言葉知って気付いた君の思い
ひなげしのうなじを風に揺らしおり
橙の障子は時を語ってる
君が言ういつかまたねと桜散る
手を握り胸のどきどき聞こえてる
悪役を配され天使魚を飼う
靴紐をロダンとなって結ぶ父
自転車で新年の風切り裂いて
また会おう栗駒山の雪虫よ
初恋は四月の桜忘れない
ピーマンはついに苦手なまま二十歳
パソコンの画面見つめて親孝行
夜の浜辺焚火に映える君の影
二十歳すぎ夢を捨てない青林檎
今宵だけホタルが魅せる小宇宙
辛いこと笑い飛ばせば虹走る
雨降りて紅の増し増す紅葉かな
世の中の厳しさ映す父の顔
足指を角へぶつけて寒波くる
ドーナツの穴ドーナツを美味くする
冬風が肌なで思ふ一年間
一年生杏仁豆腐の白さかな
ペンをもつ君の横顔ふじりんご
笹舟で一寸法師が大航海
手を伸ばす笑顔の先の春の陽よ
ひとり旅馬蹄の印夕日影
寒椿私にも火を分けてくれ
十年後同じ風景違う人
一片の押し葉に秋を閉じ込める
桃色のそうめん一本取り合って
さみしいから柚子をお供にして浸かる
親ともはじめまして子を産んだ冬