伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十三回
佳作特別賞
みんなして曜日たずねる松の内
雪だるま暗い空からやって来た
雪ウサギ滞在時間は一時間
鳥の声川を起こして春が来る
木枯が心のすきまつんと刺す
はりつめた初日の朝だ頑張ろう
授業中三秒後には熊の声
もうこんな季節なのかとこたつ出す
コンパスで地球をひとつ描いてみる
初売りの列に並んであくびする
振り袖に昔の母の春香る
子どもたち氷柱のごとく並びけり
クリスマス男どうしの映画館
足音が近くに響く霜柱
みちのくの春を知らせる垂り雪
マフラーに友の気持ちも共に巻く
十二月消しゴム一つ使い切る
音楽の中で見つけた風景画
青い空飛びこみたいよわたがしに
同じ道歩いて帰る秋の暮
地図広げ居場所をさがす秋の暮
重たげに睫毛に乗れり星月夜
帰り道隣の君は冬林檎
公園にオカンとよく似た雪だるま
冬の山おしろい塗って色直し
いつだって見えないところに光あり
ちゅら海に映り輝く冬の空
シャキシャキと刈り入れの音さとうきび
カブトムシ少年時代の代名詞
通学路霜柱の立つ田舎道
白球も僕の素肌も真っ黒に
将来が不透明な17の冬
土筆の子得意種目はかくれんぼ
バレンタイン背筋がピンと張る男子
ぴゅーぴゅーと凩からの連絡網
現実を見て見ぬふりで花畑
ふるさとの線路の色はいつも白
農業科大根スポスポよくぬける
冬の夜かごめかごめが鳴り響く
何事も無かったように新芽吹く
キタキツネバスの窓からこんにちは
もう一度君に会いたい雪だるま
靴の底春を感じる竹林
十七才大人になるため脱皮中
着膨れて達磨のような補正案
試験前はりめぐらせる蜘蛛の糸
猫の子に袖無し着せて初笑い
ダンボール中からはみ出る昔の私
呆気なく単語をさらう春疾風
男の子泣かせた夜の夏蜜柑