伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十三回
英語俳句の部 大賞
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though autumn comes
summer still stays
in your sandy sandals 訳/ 秋が立ったのに夏はなおとどまっている君の砂だらけのサンダルに微妙な季節の行き合い(夏と秋と、二つの季節にまたがること)に、「砂だらけのサンダル」が象徴的に働いて見事だ。夏の間、さんざん履いたビーチサンダルだろう。若者たちの充実した夏の余熱と同時に、いちまつの淋しさを感じさせる乾いた砂の質感!原句では、五度繰り返されるS音の頭韻がよくひびく。さらさらと吹く風は、秋の気配をただよわす。
英語俳句の部 優秀賞
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a jigsaw puzzle
the last piece
it is not found 訳/ ジグソーパズル最後のピースそれが見つからない -
In my late grandmather's desk
I find a folded paper crane
made by the young me 訳/ いまはいない祖母の机に一羽の折り鶴幼い私の折ったもの -
My two cats
different in character
same in posture 訳/ うちの二匹の猫性質は違うがとるポーズは同じ -
Dried creek bed ―
the crickets bring back
the water's murmur 訳/ 乾いた川床―コオロギが甦(よみがえ)らせる流れのささやき -
Faithfully I go
Carrying my dead dog's leash
On my daily walk 訳/ 毎日の散歩亡き飼い犬の革ひもを忠実に手にし -
pelting rain
beetle legs paddling
in the air 訳/ どしゃ降り宙にあがく甲虫の脚 -
winter solitude
the steam plume anchored
to the manhole cover 訳/ 冬の孤独立ちのぼる蒸気がマンホールの蓋を離れず -
late milking
full udders
sway in the low sun 訳/ 遅くの乳しぼり大きくふくらんだ乳房が夕日にゆれる -
botanic gardens
a plastic daisy dangles
from a woman's hat 訳/ 植物園プラスチックのヒナギクが女の人の帽子にぶらぶら
英語俳句の部 審査員賞
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a snowman
lavishes smiles
until he has melted 訳/ 雪だるまやたらに微笑をふりまいてついに溶けてしまった雪だるまを作って楽しむのは、昔からの子供の冬の遊びである。木炭や笹の葉、青木の実などで目鼻をつけて出来上がる。この句は、日が経つにつれ、溶けてくずれゆく様子を取り上げて珍しい。それも「泣きべそをかく」のではなく、終始にこにこしたあげくの消滅と、向日的に明るいとらえ方をしている点が素晴らしい。
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wrinkled faces
in the hospice window ―
bursting buds 訳/ ホスピスの窓にしわの寄った顔々―ほころぶ莟(つぼみ)つぼみがほころんで花が咲き、さらに美しくなることと、しわのある顔が次第に姿を消してゆくこと。この俳句の二つのイメージは、似ていて、かつ、対照的な面もあります。しかしどちらも、この世に生きている我々は、新しくもっと美しい姿になることを表しています。
英語俳句の部 後援団体賞
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The knife ―
The asymmetry
Of the perfect apple 訳/ ナイフ―完全なリンゴの不均等