伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第二十二回
都道府県賞
北海道
弱虫を捕れる虫あみ夢に見る
前へ行く春の日射しを探すため
草原の風を駿馬が連れてくる
老の母餅切る指に雪あかり
老い二人たまに急須で手が触れる
青森県
よみせ行き金魚がかぞくのなかまいり
夏の日にすずしい頂上岩木山
卒園式親になった日思い出す
新巻のあご突き出して吊られけり
余生なほ道草をして帰り花
岩手県
何色が自分の色かさがす旅
目をこすり返信まってる夏の月
隣の子シャンプー香る冬木立
ひっそりと河童が見上げる梅雨の星
大根を引いたら地球まで笑う
宮城県
白鳥の飛立った後雪に穴
雨が降り洗濯された桜の木
折り鶴や飛ばんばかりに羽広げ
誰だろう窓を開ければ雪だるま
満月がぽとり落ち来た柚湯かな
秋田県
もちやいてあみめのこげがあみだくじ
春の風お花をさそって音楽会
雪だるま私の方みてありがとう
せんぷうき告白されても首をふる
目覚ましを自分で起こす師走かな
山形県
黒帯を締める重さや初稽古
夏鳥やひと声啼いて森になり
若き日の故郷に錦飾る夢
歌声も母に似てきて雛まつり
サングラス似合はぬ妻を娶りけり
福島県
テスト中桜見てたら時間切れ
紅葉の磐梯山はふろ上がり
さくらんぼあなたのママは桜かな
電卓であなたへの想い計算中
誰よりも長湯している紅葉かな
茨城県
ひゅんと来てひゅんと飛びさる親ツバメ
本読んでもみじしおりに一休み
黄金のイチョウの布団ではしゃぐ子ら
しあわせはお茶の香りの中にある
電話よりメールは優し夫かな
栃木県
しもばしらはっぱのようにはえてくる
雪雲をかたにかけてる赤城山
吾子の手の強さに驚き春の風
昔はな！父もできたぞ二重とび
草臥れて向こうの山と一休み
群馬県
初げいこ心も竹刀もまっすぐに
ぎょろぎょろとにらみをきかせるだるま市
漬物の位置を論ずる春うらら
つくしんぼつむじ二つの児と遊ぶ
花みずき山の香りの人と逢ふ
埼玉県
寒げいこ終わったぼくに朝日さす
一年分話を聞いてねお雛様
金木犀午後の教室ふと薫り
ランドセルエールをつめて送り出す
肩車空を吸い込み孫はしゃぐ
