受賞作品

伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

佳作特別賞

春風のような文字にて夫のメモ

茨城県 田中 喜世子 70歳

大利根の色を違へて春立ちぬ

茨城県 川上 孝子 70歳

赤い靴ほしかった日の寒夕焼

埼玉県 大西 定子 70歳

正装の姿を見せし黒揚羽

東京都 本田 力 70歳

春風や人肌ほどのフランスパン

東京都 三宅 文子 70歳

立春のキャッチボールの球重し

神奈川県 渡辺 忠義 70歳

冬帽子昔の君とすれ違ふ

神奈川県 吉村 元明 70歳

ひしめきて駅の改札寒の入り

山梨県 有泉 政弘 70歳

ゑのこ草たまには尻尾立ててみな

長野県 木原 登 70歳

補聴器をはずして小春なほ静か

静岡県 今井 克己 70歳

春の陽をまあるく受けて押車

京都府 中川 加代女 70歳

イケメンの案山子雀の群がりて

大阪府 藤岡 初尾 70歳

子つばめや軒かさね合ふ坂の町

兵庫県 吉藤 美也子 70歳

寒月に靴音尖る白い道

兵庫県 米田 晴雄 70歳

駅の名に使いたき花酔芙蓉

長崎県 麻生 勝行 70歳

雪女出掛けるときは白を着て

北海道 内野 弓子 71歳

逆立ちの少年砂丘陽炎えり

福島県 伊藤 ユキ子 71歳

風船のもう逃げ切りし高さかな

茨城県 根本 正憲 71歳

神無月漢の食べるオムライス

埼玉県 松居 一江 71歳

ハーモニカ吹いたら春の風に乗り

千葉県 林 雅則 71歳

青年の前掛け似合ふ文化祭

神奈川県 若村 京子 71歳

トンネルの風にふわりと合歓の花

神奈川県 菊池 朝男 71歳

寝そびれて雪見障子の白さかな

神奈川県 白崎 道忠 71歳

演壇にこすもす活けて育児論

福井県 山内 てるこ 71歳

馬の目に新涼の雲動きけり

静岡県 佐野 月子 71歳

マスクしてついでにみみも遠くなる

静岡県 中野 清彦 71歳

名を呼べば微笑むかしら草の花

青森県 吉川 富士保 72歳

刻ときに忘れてゐたり浮寝鳥

岩手県 北田 祥子 72歳

住みなれていくたび深き雪を掻く

秋田県 高橋 ヤス 72歳

夕桜フルートの銀曇りきる

福島県 渡邊 三一子 72歳

木の芽晴声音豊かに紙芝居

東京都 髙橋 悦子 72歳

蝉しぐれ森を泣かせてしまいけり

東京都 小堺 政彦 72歳

草の花陽だまりのような人が好き

神奈川県 長田 真紀 72歳

妻に髪染められている敬老の日

京都府 山中 西放 72歳

遠足の去って余熱の大仏殿

兵庫県 田中 愛子 72歳

啓蟄の山はゆっくりふくれけり

愛媛県 宮部 敏博 72歳

二月には二月の願ひ村社

群馬県 豊嶋 秋生 73歳

越後路の山重なりて眠りけり

埼玉県 人見 正 73歳

月祭り親子狐の影絵かな

千葉県 稲葉 光枝 73歳

春風も売ります好評分譲地

千葉県 日野 夏彦 73歳

渋柿も甘くなりたる古希の朝

東京都 宮下 亀彦 73歳

春眠に掴まれているうしろ髪

神奈川県 小林 比奈子 73歳

借景の丹波山なみ夏座敷

兵庫県 岸 慶子 73歳

どれもみな平成の顔雪だるま

岡山県 浜本 泰子 73歳

百円の値札がずらり年の暮

宮城県 藤野 尚之 74歳

クローバー少女の胸に「あいつ」棲み

埼玉県 渡邊 英男 74歳

寒風に負げず不動の鷺一羽

神奈川県 間下 稔 74歳

蓮根の穴から覗く俗世界

長野県 中島 照代 74歳

しゅうしゅうと風の研ぎ出す枯木立

静岡県 三島 清水 74歳

一山を青き香りの野梅かな

京都府 西山 美沙子 74歳

  • X