伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十二回
佳作特別賞
雪だるま家の影で生き続ける
霜の上無口に進む長いかげ
マフラーと輝く月と帰り道
冬の空心も体も白くなる
煩悩もともに出したい大掃除
初東風よ鎮む日本を奮い立て
七草粥食べて今年も走り出す
北風にゆられ鳴いてるふらここよ
うさぎ年ピョーンと飛んだポップコーン
一人描くキャンバスの中冬景色
全絵の具混ぜ合わせたら世界色
日本の雪早くふってね見てみたい
素直って意外と勇気必要だ
初詣ホットココアを握りしめ
流れ星私をそのまま連れてって
タマネギを切ったら流れる流れ星
夕暮れの遠くの方で鐘がなる
佐保姫の気配感じる七分袖
桜咲く小道で少し胸を張る
夕焼けが砂漠に溶けるらくだの背
ちぎれ雲渡り鳥が追いかける
スカイツリー見える景色はおもちゃ箱
キャンバスにちりばめられた白絵具
月の耳丸い地球の声を聴く
空高く綿雪ひらり踊ってる
学校へ歩いていけば春の風
春の空だんだん鼻がかゆくなる
風の声冬の訪れ教えてく
山の上入道雲が背比べ
パリパリと枯野を歩くただひとり
母の日も母の居る場所台所
セーターに袖を通すと母思う
猫用のこたつに集う一家かな
コオロギの最終楽章今始まる
空高く季節感じるくるみパン
表札はしゃれたローマ字雪積もる
玉葱の背中は少し淋しそう
大晦日いつもと違う午前0時
成績もポロリと落ちる椿かな
雪山はまるで一つの白い顔
真夜中の一点に沸く冬の居間
日だまりが優しく包む雪柳
白い息皆の顔が沸騰中
真緑や本能寺に猫二匹
中途はんぱに迷わない君が好き
全力で駆け抜けていく十二月
農協の初荷に混じる寒卵
手についた白い絵の具と美術室
寒がりで黄色い服を着るバナナ
瞳をとじて島唄を聴く大晦日