伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十七回
ユニーク賞
べんきょうのしせいもピンとお正月
くるくるとねずみ花火もおさんぽする
かけざんをおぼえてひきざんわすれたよ
四月から弟ならぶ通学路
ウグイスの声の練習始まった
みかん食べかわはおふろへリサイクル
早起きができたその日は日曜日
もちつきの湯気の向こうで犬が鳴く
キーパーの前を横ぎるとんぼたち
ストーブの前にどすんと母すわる
けしごむはエンピツさんの召しつかい
原油高気にしてられぬ霜の夜
弟のこいのぼりはき人魚姫
兄ちゃんのせい服もらって強くなる
石焼イモ迷うあいだに通りすぎ
先生がスカート今日は参観日
お母さん大臣よりもたよられる
「水泳やめろ」コーチの声が水ゆらす
花びらといっしょに食べるお弁当
そうじまで気合いを入れる参観日
おばあちゃん歳は気にせず誕生日
くわがたよここで会おうよ来年も
帰り道月が私のガードマン
いつ終わる晩しゃく中の父の話
親ツバメ休むひまなし母みたい
うちの犬女子高生には愛想がいい
湖の氷の厚み電話帳
テストの日寒くもないのに寒気する
ケンカしたあいつの影を踏んづけた
夏祭りみんなにぎやか赤ちゃんも
校長室に入ってカメの世話をする
5厘刈りリンスはいらんよお兄ちゃん
最終回ぼくが打たなきゃ誰が打つ
ボウリングいいおとなったストライク
冬休みみんなこたつで故障中
ポチにタマ平凡な名前ぐっとくる
マフラーを編もうとしているうちの猫
ギャル文字についていけない十三歳
不きげんに理由はないけど月曜日
日記帳三日たったら自由帳
眠くなる振子時計の催眠術
新聞が変わらぬ朝を刺激する
作文を丸めて投げた夏休み
お天気雨太陽と雨がお話し中
受験生滑るわ転ぶわ雪の朝
けしごむの角がツンツン入学式
ツバメの巣つまりその家平和だなぁ
父さんの大きなくしゃみ7時だな
にわとりがお日様産んで朝になる
おばあちゃん手の平かすかにねぎくさい
バットでねうちかえしたい初日の出
シャレ言えば僕のまわりに大寒波
クリスマスふとんの横に問題集
口の中鉄の味する真冬の日
おふくろの手づくりコロッケ星三つ
準備した第2ボタンはそのままで
よくきれる私のハサミとお母さん
そんな日もそういやあったと日記見る
お風呂から送るはあたしの十八番
ペンだこの神に祈る手受験生
月が出て「さよなら」言ってもまだ話す
はしゃぐ声プールの水面に風すべる
ありがとう言われてうれしいレジ係り
初もうで祖父の背中の凛として
いつからかあだ名が鯖になっていた
冬の道女子校生はクールビズ
秋の日に野球部いじめる八ヶ岳おろし
体育祭女忘れた私たち
ババシャツの上は可憐な女の子
ベッドから落ちて始まるお正月
反抗期十分間の一人旅
掃除機が何より怖いうちの犬
合宿は男祭だクリスマス
アルバムに私の知らない母がいる
ひな人形ずっと見てたらめっちゃ怖い
車窓より稲刈り見えるローカル線
年賀状ポストの中は同窓会
着物着てロボット歩き新成人
怖かった監督ももぅちゃんちゃんこ
久々の少女漫画や冬苺
ネコといる時間が長い冬がきた
コンタクト汚い世界に落胆す
隙間風ピアスの穴を通り抜け
砂時計過去には戻れないけれど
椅子の上冬が先に座ってた
ぽんぽんと弾けたような梅が咲く
宇宙へも飛び出せそうな秋の空
ぼたん雪服を着た犬通り過ぎ
一歳児葉っぱも石も宝物
参観日咳でわかる母の場所
お金より脂肪が貯まる家の嫁
ホタル火を千個集めてパトロール
ただいまで上着脱ぎ捨て父になる
飼い猫の後退りするサングラス
地方紙に包まれ母の味届く
オーロラのかけらも入れてソーダ水
ベランダの雀とチャット春の朝
カーナビと方向音痴押し問答
断りが下手で冬瓜貰ひたり