伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十七回
都道府県賞
千葉県
里帰り母がちゃんづけされていた
真夜中のココアに溶ける計算式
野良猫もこたつを狙う寒さかな
シャボン玉ひとつは海に着きにけり
マネキンの指の先まで春の色
東京都
セーターをぬいだらぼくは発電機
最後の日机のすみに名前書く
転んでもついでに空を見ればいい
読めないよ女の心と自分の字
空っぽの弁当箱に笑み映る
神奈川県
書き初めの半紙に心を打ち明ける
ピンポーンドアをあけたら春でした
オリオン座母という字に少し似て
「また来ていい?」母にきかずに孫にきく
黒猫に指定席あり日向ぼこ
新潟県
幸せは冬の肉まん半分こ
遠花火長岡北で降りにけり
四階の1Kからの宇宙広し
犬掻きで追いかけてくる波に勝ち
少女らとバレンタインの日の電車
富山県
明日は遠足黒板きれいにふきました
バドミントンからぶり秋の風を切る
かにの足キレイにぬけてほおばった
エビフライ衣が厚い冬だから
風鈴もやんで聞き入る夏の虫
石川県
シーソーの揺れる心の冬景色
ざるそばの四角さ冬に極まれり
挨拶をするかのように伸びる雲
冬の朝せーので抜け出す夢空間
大根の虫食い穴を通る風
福井県
廃校の小さな足跡風になる
子の弁当パズルのようにおかず詰め
立冬や越前和紙に春一字
畦焼いて地球を少し焦がしけり
芋數多詰めある母の宅急便
山梨県
鏡見て眩しく感じる初にきび
春のうたちいさい声もきこえるよ
仏だんの祖父といただくおせち料理
ささくれの心を癒す家族の輪
宝くじ買って夢見る一ヶ月
長野県
うらないを信じない日と信じる日
大きめのスーツで挑む面接日
子と猫が私の布団に入る冬
前世は太鼓持かもおじぎ草
絵手紙に一筆画く冬の蝶
岐阜県
ガリバーになって作ったアリの道
ベートーヴェン流れて明日はお年玉
三日月を掬って洗う露天風呂
天井の抜けたる如く春来る
恋いくつ生みし毛皮の褪せにけり
静岡県
おとしだまたっきゅうびんでとどいたよ
亡き祖父に手紙を届けるお茶の湯気
アルバムに入りきらない思い出よ
春風に浮いた大きなランドセル
マネキンと同じつもりで服を買い