受賞作品

伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

佳作特別賞

フルートを月の明かりに吹く子かな

静岡県 和久田 綾子 79歳

花丸を貰ふ七十路の初硯

滋賀県 松田 和枝 79歳

誕生日皺に重ねる薄化粧

福岡県 諸隈 喜美江 79歳

金婚をひとり祝いし雪の舞

大分県 手嶋 陽子 79歳

風が出てロシヤへ向う蕗の絮

北海道 山田 外吉 80歳

台風が声を荒げて街走る

北海道 大和 史郎 80歳

開店の斜めに貼られ街冴える

北海道 佐藤 京作 80歳

全山の音閉じ込めて滝凍る

群馬県 栗原 英也 80歳

安達太良を背に地吹雪の始まりぬ

埼玉県 永瀬 好藏 80歳

太陽のあっちこっちと青き踏む

埼玉県 森村 桜堂 80歳

水槽に風ある如し金魚の尾

東京都 村田 暹 80歳

短日や金平糖の角光る

東京都 窪 蔵六 80歳

大方は病のことの古日記

長野県 寺沢 節夫 80歳

生命線夫と見せ合ふ日向ぼこ

岐阜県 橋爪 つや子 80歳

はたはたや世に忘られし石佛

静岡県 服部 君江 80歳

日本海二月は暗きままに昏れ

滋賀県 牧野 進 80歳

花筏ゆらゆら星の子をのせて

香川県 中山 美帆子 80歳

蝸牛ゆきつく当てのあるごとく

大分県 近藤 忠良 80歳

旅に出て気さくな気持ちサングラス

ブラジル 宮本 英雄 80歳

風光る水の硬さを水が解き

福島県 冨塚 六郎 81歳

箸袋話聞きつつ鶴となる

埼玉県 佐藤 美津夫 81歳

虹の尾につかまって行く童話村

千葉県 茅山 峰子 81歳

烏瓜自由奔放次男坊

東京都 松宮 昭 81歳

羽子板や女系家族の歴史あり

東京都 青山 喜代子 81歳

粉雪の尚しきりなる千代紙屋

東京都 藤原 光子 81歳

花吹雪くぐり江ノ電現はれる

東京都 木村 一平 81歳

焙じ茶の匂ふ舗道や夏柳

神奈川県 中島 喜代子 81歳

八十の眉を引きたす初鏡

神奈川県 河合 清子 81歳

不覚にも風邪の問屋となりにけり

神奈川県 大橋 義守 81歳

物忘れ共に笑ひて蜜柑むく

神奈川県 井田 みね 81歳

唐辛子一糸まとわず吊られけり

富山県 横山 春枝 81歳

名月に手の届くかと仰ぎ見る

大阪府 田村 治子 81歳

補聴器がうなる二月の風の声

香川県 小野 貴美子 81歳

金魚鉢孫は鯨を飼っており

岩手県 小野 ゆたか 82歳

茶を立つる二の丸稲田一望に

秋田県 小西 良雄 82歳

梅の花日毎にひらく孫の智慧

埼玉県 木元 恵津子 82歳

てのひらの器に蕗を摘みにけり

埼玉県 保泉 一生 82歳

花莚隣は同じ国訛

千葉県 野上 昇 82歳

良寛の歌碑につまづく冬の蝶

東京都 三枝 綾子 82歳

色いくつかさねて匂う春の闇

神奈川県 行谷 新水 82歳

古語辞典机に残し卒業す

愛知県 中村 春草 82歳

寒晴やかたまってゆくランドセル

岡山県 石井 誠一郎 82歳

山寺の畳に西瓜かしこまる

埼玉県 秋山 英子 83歳

山茶花の咲く裏口に水音す

千葉県 北原 ヨシ子 83歳

車椅子押されて通る蝉しぐれ

東京都 高橋 嘉子 83歳

よちよちの歩みに疲れ亀鳴けり

神奈川県 秋本 謙一 83歳

華やかに座敷占められ女正月

神奈川県 沖 鷗潮 83歳

餅花の灯影に鳴れり古時計

神奈川県 多田 武峰 83歳

寒がりの母の墓石に雪積る

大阪府 山本 ハルエ 83歳

雪だるまみんな帰りてしまひけり

岡山県 杉山 繁夫 83歳

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