伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第十七回
佳作特別賞
風止んで冬芽のどっと育ちたる
革命の父と呼ばれてサングラス
菜の花と遊んだだけの恋だった
初夢は七福神の船を漕ぎ
ペディキュアを塗り終えしより我の夏
もし妣に逢えるとしたら蓬原
敬老日杖より低く友来たる
人馬とも流鏑馬終わりて大欠伸
成層圏見てきた凧をいたわりし
田植花咲きぬ五角田三角田
春風に吹かれて曲がる郵便夫
しばらくは動かぬ寒波詰将棋
夕立を駆けた子の足砂光る
きっとまた野良猫となる猫柳
春寒し研ぎ師のにぎる薄刃
すれ違ふ人みな美し十六夜
人声がして紅梅がうるみだす
春風の内緒話を聞いちゃった
春泥を遠回りする寺の猫
入道雲スクラム組んで起ちあがる
お日さまが好きでたまらぬ福寿草
ひとときの雨にこころも横になり
遠来の客をもてなす春月夜
子が帰り広くなりたる冬座敷
春潮や「ふぐ」はめんこい翼持つ
のどけしや輪ゴムのやうな鯉の口
挨拶にお茶の手を借り顔つなぎ
短日の切符捥ぎ取る改札機
マンモスの瞳の奥の白夜かな
春の顔皺百本の整然と
網袋噛みて放さぬ浅蜊かな
皹荒れの右手我が手よ農が好き
節分に心の鬼は出て行かず
豆ご飯一二三四おちょぼ口
大雪の身の丈越へる登校日
お互いのくらしに触れずおでん酒
べい独楽のかちりと還る少年期
菜園にしの字くの字の瓜下る
半襟の白の浮き立つ寒の入り
便り書く静かな夜の余寒かな
虎落笛本日妻は合唱隊
夕暮れの恋か蛙の声しきり
留守居して冬の金魚と目を合はす
灯台の白さ眩しき春の海
一隅に子等の作あり菊花展
落日が道のまんなか通せんぼ
鎌倉の街を抜け来し初つばめ
粗大ごみという名をもらい冬ごもり
背のチャックさっと引上げ炎天へ
鳥帰る空の画用紙はみ出して
