伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十七回
佳作特別賞
真っ白な雪に佇む赤南天
夜の街行き交う車流星群
ぼたん雪窓から見てるどんぐり眼
そろそろか気分はすでに花粉症
大失恋湯たんぽ抱いて眠る夜
大空の花火に負けぬ鼓動かな
新年の決意もすでに過去のもの
雨傘の奥の表情のぞきこむ
てのひらにしみこんでゆく雪の音
逆転の一球つかむ晴れ間かな
走っている夢をよく見るさとうきび
聖五月まあるく響くトロンボーン
村歌舞伎討たれる者が幕を引く
雨あがり虹の彼方に希望船
できるなら交換したい胸と腹
君はひだまり私のひだまり
農作業太陽と汗とおーいお茶
待ちわびた期末手当てに春一番
厚化粧したかのような赤いバラ
新婚の幸せ抱きて布団干す
郷に入り郷に従う雛まつり
逆上がり地球一周半の夏
指先に孤独を飼うよな冬の朝
星空を仰ぐ瞳は万華鏡
教室を真空にした君の笑顔
祭りの日掃除しながら音頭とる
春の風恋も一緒に運んでこい
太陽を食うが如く西瓜食う
冬の雪ぽつぽつ頬に舞い降りる
紅い糸すこしたぐりて十三夜
おみくじはまず縁談をそっと見る
餅つきの顔ぶれ世代若くなり
雨続き部屋に広がる万国旗
携帯の電池が切れてほっとする
こんなにも細かったんだ母の首
雛人形あわてて仕舞う三十路前
お祭りを見つめる月のまんまるさ
ラムネ飲む君の仕草に時止まる
さまざまな予感を秘めて東風届く
夜明け前枯葉を掴む薄氷
オレンジの夕日が海にのまれてく
妻となる手のひらに春の陽を溜める
豪快なくしゃみで始まる春がきた
庭先の木々が微笑み戯れる
野の花に目がいく育休ありがたや
予定なしそれでも気になる天気予報
満月に近づきたくて深呼吸
赤ちゃんの欠伸は幸せの匂いして
ため息で満員電車の窓曇る
花粉症誰かのうわさと信じ込む