伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第十七回
佳作特別賞
宿題とお金がたまる冬休み
シャボン玉ジャングルジムを抜けて飛ぶ
飴玉が溶けず挨拶どもりたる
年賀状きたのはメガネ屋散髪店
今朝詰めた眠気が口からあふれだす
鍵穴も思わずかじかむ冬の朝
携帯の待ち受け画面も冬模様
手の届く範囲になんでもあるコタツ
北風が冬の便りを置いていく
七夕の願い思案の筆とまる
袖口がほつれて冬のミルクティー
洋服のフリルも踊る春の午後
春の音風が運んだ贈り物
恋仲のまなざしとなる良夜かな
携帯の画面は狭く八重桜
白い雲あの真上には何がある
帰省してまずは大きく深呼吸
雪の中馳せた思いも溶けていく
ひたひたと指に染み込む弦の音
とびかうはお国言葉と赤とんぼ
お母さん木洩れ日のドレス着てるみたい
絆創膏外す大きな春の夢
春風に二人溶け込み歩き出す
昼下がり時雨が奏でる子守唄
里帰りこの山こえればすぐ圏外
山笑う黄色い帽子の行列に
筆圧に想いを乗せていざ受験
万緑や蝉の生命が木霊する
里帰り緑のにおい誘われて
波の音が胸の鼓動を撫で下ろす
故郷に浜の匂いと海鼠船
正門の無き大学や冬芽咲く
北風に追われて逃げる落葉たち
寒空の星を柄杓でひとすくい
セミの声皮膚を突きぬけ鳴り響く
クリスマス彼氏彼女という称号
戸を開ける取っ手暖か春陽気
減量中もったいないと食べる母
寒に立つ地球の芯に引っ張られ
雪の日は枯れた枝にも綿の花
踏み出した片足に乗るぼくの夢
捨てた夢心の隅にまだ残る
歩いたらいつもの風景また変わる
ふわふわと舞っているのは忘れ雪
見上げると水玉模様の冬の空
振袖の色鮮やかに未来を語らん
歳時記を片手にロックミュージック
凛とした空気を吸って冬の朝
寒空の闇に光るほうき星
節電の心が繋ぐ地球の環
