伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第十七回
佳作特別賞
リビングがしんと静まり広くなる
着太りさ何度も自分に言いきかす
あかんたれ言われへんよう変わるねん
冬の雷一輪挿しの花瓶かな
おいと呼びはいと答える父と母
グアムの海私人魚と思い込む
日本海冬は恐いよ海の顔
霜焼の足をつめ込み登校す
しめ縄の穂にもむらがるすずめたち
春の風新入生を乗せてきた
ざわめきを止める廊下の咳一つ
解きたいな君の心の不等式
声援が勇気に変わる大舞台
どんぐりが転がり出した通学路
切りたての髪に絡まる青嵐
薄氷をパキンと踏んで春を呼ぶ
着ぶくれてみんなで笑う帰り道
平安の気分にひたる春の京
心まで入って来ないですきま風
蚊をたたき顔もたたいて逃げられる
ふらここの奏でる音や懐かしむ
夕焼けを小瓶に詰めてあなたまで
ランドセル防犯ブザー付け足して
ごきげんで鼻唄はカノン青い空
大掃除ふと手を止めることが増え
相棒に投げる渾身のストレート
ピアノ弾く音符が部屋を行ききする
朝顔に母の名をつけ育ており
春一番いじけた心を連れていけ
打水が僕の心も打っている
ポケットに片道切符春の雪
渡り鳥旅の話が聞きたいな
雪化粧学校までの小旅行
満月の夜にはあなたに逢えますか
空港でそわそわしてる一人旅
秋桜と私の心がかさなりあう
バス停に待ち人来る小春かな
伝言の届かぬ背中冬菫
ひとりごと流れる雲になっていく
蝶がきて家庭菜園三年目
ふたり乗り真っ赤な夕日を追いかけて
今君に花束をかかえ逢いに行こう
ビー玉の光弾ける春の午後
あの雲も帰るのだろうか故郷へ
五月晴れこんな日は空が飛べるかも
ため息が雲に変わって雪が降る
母さんが背泳ぎすればひょうたん島
母の味一品覚えた冬休み
ビーズびん倒せば小さな天の川
受験生上げていこうよ耐震強度
