伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第十七回
佳作特別賞
パンくずのバケツを追ってカモ転ぶ
福袋うすうす感じる博打感
ヒマワリは終戰の花平和色
雪景色黒犬一匹浮いている
思い出を花火に詰めて打ち上げる
走ろうよ青空色の電車まで
初場所を見てる人々みな行司
うちの姉音階になる笑い声
迎火をじっと見つめる祖母の瞳
私の祖母この世一番の癒し系
雪の中新たな命眠ってる
鐘の声春に向けての通り道
電車から見えるりんごはもう故郷
ぼんやりと春の時間に流される
みの虫に負けないくらい厚着する
せっかちな鶯がもう鳴いている
伊勢海老の赤が輝く港町
わさびの葉冷たい水に生きいきと
黒板の片隅に書く残りの日
バスを待つ人にも会釈寒の道
見つめ合う時が止まった天の川
紅葉の目覚めは遅し天竜寺
みちくさが摘み草となる春の道
友達とせんこう花火で夏のしめ
星の砂戦火にめげず白いまま
戦争と同じ時間に生きる僕
消しゴムも人の心も丸くなる
春の風生命をのせてやってくる
交差点青になるまで富士を見る
ひらひらと居場所をさがす紅葉たち
木を切られ山の神々凍えてる
音程が合わずに楽器とひなたぼっこ
海の底色んな不思議が待っている
甘酒に優しさ溶ける母の味
ズル休み遠くのチャイムに胸痛み
学校中甘いにおいのバレンタイン
きんとんも一味違うお手伝い
無人駅並んだ座布団春日和
思い出も伐採されてマンションに
落ち葉の音うしろに誰かいるように
子の投げた思わぬ硬さの雪礫
マカロニの穴におはしを入れてみた
北風に押し戻される鳥の群れ
冬景色キツネがひょっこり顔を出す
雪だるまパパのお腹とリンクする
帰り道カレーの匂いとオリオン座
夕焼けを一人で見てる橋の上
新学期駅で小さな同窓会
藍色の夜に溶けてく白い息
縁側で祖父と打つ碁と梅の花
