伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十七回
佳作特別賞
猫の手を借りて梅花の年賀状
かがみもち澄んだ空気のたなの上
夏草が我にささやく風の音で
十四歳粘土のにおい忘れてた
庭の柿鳥に人気のレストラン
雪洞の小さな灯りに頬寄せる
朝刊と寒さが届く冬の朝
元旦のまずは開けたりテレビ欄
花びらをたどればそこに君がいた
これからは離ればなれの春の雲
コシヒカリ緑の絨毯しきつめる
川が好きトンボが一瞬足ぬらす
遊歩道にきのこが住んで岩屋山
受験票合格守りで擦る朝
せみの声とうぶん雨は降らないね
太陽は私の心の結晶だ
ひとりだけ静かな世界へ捨て案山子
まどぎわの欠伸が目立つ春隣
散歩する空の羊と車内の私
掃除機で降りつづく雨吸いこんだ
釣りざおをにぎる手固く冬の港
シャープペン止まり始めた春日和
ピカピカの新校舎の中木のにおい
新聞を開けば朝の香りする
軽トラの荷台で眺めた青い空
大掃除隠したテストまた隠す
わがままだから少しお塩を加えよう
河原からあがる初だこ二つ三つ
初詣で篝火の中に友の顔
親の乱どうせ内容子供級
木枯らしに犬も弱気の散歩道
あとちょっとふくらむお餅愛らしい
子供みたい青年教師雪あそび
いつまでもつないでいたい母の手を
待つことが好きになれそう冬の街
蝉時雨二次関数に響きおり
友達のあくびがうつる春の午後
蝶の羽根進学祝いの拍手かな
豪雪の下に暮しの火を点す
屋根の上体育座りで星を見る
気が付けば辞書を枕に一夜越す
春風が運んで来たよ笑い声
消しゴムをどう使おうか四つの角
夢語る君の横顔一番星
やわらかな日差しに向かうしゃぼん玉
俳句詠むあいだは少しナルシスト
花畑スカート揺らせた花の精
浴衣着て大輪の花を見に行こう
薫風にまぶたの重さ耐えきれず
となりから手がのびてくる栗きんとん