受賞作品

伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

佳作特別賞

棒針で光編み込む冬帽子

群馬県 小菅 初枝 80歳

塵払ふ小学図鑑小鳥來る

埼玉県 飯田 正也 80歳

初鏡八十路の紅をさっとひく

埼玉県 清水 きよ美 80歳

柿を食ふ貌すさまじきひとりなり

千葉県 池嶋 茂 80歳

春一番老ひの背中を押してくる

東京都 島崎 五 80歳

春一番花粉と共に来て憎し

三重県 松井 喜四郎 80歳

ひとつづつ消えゆく過去やしゃぼん玉

大阪府 福島 律江 80歳

大川瀬ダムを包みて梅の花

兵庫県 秋田 安穂 80歳

春雪に朱の鳥居のはなやげり

広島県 大久保 喜久子 80歳

滴りといふ水美しき流れあり

北海道 横山 利光 81歳

大雪野一列無言修行僧

北海道 高橋 ゆきを 81歳

アメリカの人も交じへて芋煮会

栃木県 伏木 トミ 81歳

水匂ふ青田の中の帰り道

東京都 今井 金次 81歳

シャワー浴ぶ長子眩しく卒業す

岐阜県 後藤 智子 81歳

アカペラの校歌が胸打つクラス会

栃木県 瀬尾 マチ 82歳

マフラーの好みシックな帰省の子

東京都 酒井 重雄 82歳

信濃路の吾は旅人木の実落つ

滋賀県 桑原 里江 82歳

哲学の顔してかまきり肥えられず

兵庫県 竹島 清歩 82歳

山鳩の含み啼きして冬に入る

群馬県 宮下 美代 83歳

噛まれても笑う西瓜の大歯形

愛知県 松山 一郎 83歳

ほうほうと障子にたまる鳩の声

広島県 安冨 松枝 83歳

余生とは手持ち無沙汰となる孤独

山形県 佐藤 守 84歳

粽しっかり抱いた「やまびこ」自由席

埼玉県 渡辺 謙三 84歳

梅一輪針塚濡らす小糠雨

三重県 植山 昇 84歳

着ぶくれていまなほ身元保證人

北海道 小林 アヤ子 85歳

手鏡の化粧くずるる大西日

東京都 諸戸 美恵子 85歳

寒椿ひとりで咲いてひとり散る

長野県 大嶋 一義 85歳

星流れ神話に遠きバター塗る

ブラジル 浦旗 都家子 85歳

難聴の拍手音もなく冴ゆる

北海道 藤田 和夫 86歳

春雨や遺影を撫でて客帰る

北海道 楠本 たけし 86歳

茶を啜り今日一日の幕が開く

東京都 高橋 左駄 86歳

土間の灯がふっと消されて夜業終ゆ

富山県 中村 正一 86歳

起伏なきわが晩年の日記果つ

ブラジル 高橋 幸太郎 86歳

春愁や村中の音みな和む

宮城県 中川 トミ 87歳

向日葵の私語とどかずにふと笑ふ

岐阜県 水野 政子 89歳

白鷺が降りて絵となる鮎の川

東京都 小名 露子 90歳

万緑にまぎれてしまひそうな寺

千葉県 南條 勝子 91歳

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