受賞作品

伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

佳作特別賞

国境の愚を笑う渡り鳥

千葉県 長沼 映夫 70歳

蓬髪のアインシュタイン日向ぼこ

東京都 松井 青堂 70歳

あやとりの梯子を貰う花の昼

東京都 山崎 照子 70歳

獅子舞の噛んで受けとる祝儀かな

神奈川県 上田 久幸 70歳

風呂蓋の猫と話して長湯せり

岐阜県 千葉 君子 70歳

真白な漁夫の鉢巻五月来ぬ

三重県 田島 もり 70歳

今日去ると決めて燕の潔よし

大阪府 井島 正 70歳

秋風のなかに鍵束ざくと置き

大阪府 永田 愛子 70歳

万緑の島引き寄せて斜張橋

広島県 橋本 収三 70歳

町内の生き字引なり生身魂

福岡県 大里 義孝 70歳

蟻穴を出て旧姓で呼ばれけり

福岡県 宗 康子 70歳

もう一度リンゴまるごとかじりたい

熊本県 相水 絹枝 70歳

地球儀を回して誘う夏の旅

山形県 真木 従子 71歳

お茶淹れて下座の好きな母なりし

福島県 遠藤 恵子 71歳

人も来ず電話も鳴らず老ひの春

群馬県 赤岩 昌三 71歳

片栗の咲いて逢いたさつのる夕

千葉県 三浦 章一 71歳

日の暮れてあと一坪と春田打つ

千葉県 坂本 正夫 71歳

春寒し晴れたる空に根なし雲

東京都 西川 絹子 71歳

花みずきパン屋の前の乳母車

東京都 鈴木 史郎 71歳

パソコンの画面に春を呼びだして

石川県 五十嵐 一雄 71歳

さっそうと歩いてみたし草萠ゆる

大阪府 岩田 明子 71歳

コーナーで影にも抜かれ運動会

奈良県 八百野 準平 71歳

老いし背に戸惑いつつも雪降るる

広島県 髙本 房枝 71歳

大の字に寝て若草に抱かるる

山口県 田中 清久 71歳

通勤の道変えて見る春田かな

福岡県 岡部 英将 71歳

マスクしてマスクの人を避けて居り

福岡県 進 壽治 71歳

咳ひとつ残してとおる冬木立

佐賀県 齊藤 慧 71歳

僕の凧高所恐怖症かもしれぬ

茨城県 福島 敬二 72歳

余生といふ言葉好まず筍むく

栃木県 鶴見 恭子 72歳

夏の空ミルクを飲んだ色をして

群馬県 木暮 とみ江 72歳

一条の夕日を貰ひ石蕗の花

千葉県 栃原 久 72歳

帰省する子の足音に耳澄ます

千葉県 金子 陸郎 72歳

春風や迷路のような地下を出て

神奈川県 稲垣 千恵子 72歳

ふるさとを絞り染めして曼珠沙華

神奈川県 浦上 昭一 72歳

風薫る山のかたちの握り飯

岐阜県 竹中 孝子 72歳

店先に小豆の匂ふ城下町

岐阜県 東海 百合子 72歳

マフラーや短き首の西郷どん

愛知県 中島 志朝光 72歳

補助輪も父の手もなく春を漕ぐ

福岡県 田上 悌三 72歳

女温泉の昼の親しき落椿

宮崎県 大津 幸奈 72歳

休日の炬燵の中に討ち死にす

宮崎県 吉原 正見 72歳

抱きつけと言われて哀し介護の湯

栃木県 吉田 鐵四郎 73歳

冬昴氷河は青く眠りたる

東京都 井上 敬子 73歳

空探し深きところに雲光る

神奈川県 奥谷 英夫 73歳

水中花門限のない少女いる

神奈川県 須佐 はじむ 73歳

白銀の輝く尾根に歌ひびく

京都府 佐倉 冨男 73歳

あどけなき児の歯の白き磯遊び

兵庫県 上村 要子 73歳

どやどやと戻りて開く冷蔵庫

香川県 田村 道明 73歳

利休忌や点前の杓の指の艶

香川県 田中 千鶴子 73歳

福耳の祖母の歩巾で初詣

福岡県 則行 範子 73歳

地の奥の鼓動に覚めし芽吹かな

ブラジル 清水 照子 73歳

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