伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第十六回
佳作特別賞
ふでばこの枕で眠る昼休み
おいつららそんなにとがってなにをする
雪積もり父の靴跡子が辿る
父親のまだ追いつけぬ背中見る
ビル街の夜空の果ての花火かな
想い出を一枚めくる秋の風
棚田苗海より蒼き波を打つ
雨の中あなたに会いにペダルをこぐ
三日月が心にささるテスト前
携帯に潮の香りを添付して
逆転しメガホン揺れる甲子園
吐く息の白さで今日の服えらび
パソコンと一緒にバテる熱帯夜
秋晴れにコスモス何度も頷いた
寒いけど君が隣にいてくれる
星見るとみつめあってる気がするね
向かい風立ちこぎで帰る帰り道
春の風一歩踏み出す地図の先
大きくも小さくもせず鏡餅
おぼろ月指を輪にしてつかまえた
携帯にお守りつける初詣
満員電車でいつも私は埋もれてる
夏祭り偶然触れたあなたの手
下駄箱の名前をはがす寒い朝
こんぺい糖一つ摘んで夜空かな
二年後に国道となる祖父母の美田
秋日和藩士になりき五稜郭
闇の中流るる星を追いかけて
タンポポがあなたを見上げ微笑んだ
境内の振袖に咲くぼたん雪
祖父にへと姉と送った二羽の鶴
思い出の青いベンチが光ってる
音のない世界で生きた僕の姉
ケシゴムで消えてく言葉どこへ行く
受験前母の優しさ湯たんぽへ
里山の静かな主張百合一輪
黒真珠案外可愛いカラスの眼
あれこれと迷っていたらバナナ熟す
初日の出湖に輝く鶴の声
スイカの種飛ばして歩いた田舎道
貝殻の中で広がる夢世界
波寄せてヤドカリ貝にこもります
数学の問題集は見てるだけ
口笛を吹けない妹おちょぼ口
蒲公英を飛び越え丘を駆け上がる
望遠鏡のぞいて平和な星さがす
ガンバレと視線で背を押す兄二人
チビだけど誰より高く手を挙げた
夢みたい二人見上げる冬の星
この髪が胸まで伸びたら打ち明けよう
