伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十六回
佳作特別賞
春ってさうれしいようで悲しいね
除夜の鐘響き茶柱ゆれ動く
真ん中に椿を抱く青空よ
風を受け小さくなる祖母見守る日
声の無い会話が飛び交う掲示板
意味もなくエスカレーター駆け上がる
修正液心の闇も消せたらなぁ
紙袋二つかかえてチョコ配る
通学路猫の家族が増えていた
香水がきれる頃には素の私
それは要るこれも残すと年用意
つかまえた雪にそおっと虫眼鏡
二〇〇五年部屋より多いカレンダー
富士山が箱根駅伝眺めてる
春風と一緒に飛んでけこの手紙
動いてる自分の影が生きている
初氷葉っぱ一枚閉じこめて
手袋が二人の距離を邪魔してる
答案の性格分かる文字の音
やって来るたんぽぽのわたのお手紙が
はくちょう座わたしを乗せて飛んでゆけ
よこがおの綺麗な君に似合う梅
「チューリップ」みんなこれから始まった
友という大きな虹が架け橋だ
震災の地にも優しい雪が降る
理科の時間あなたとわたし化学反応
外野フライまぶしい太陽に奪われた
富士山に誓いを立てる初稽古
故郷発つ彼を見送る無人駅
シャンパンの横に並んだ鏡餅
見てるかなじいちゃんの梅咲いてるよ
山茶花を椿と言い張る親父かな
ごつい手で祖父が作った注連飾
親友と呼べる子ができた一年間
赤い字が妙に気になる学期末
干したての布団の上は雲の上
編み棒が毛糸に絡む秋の夜
富士山に向かって走る通学路
冬の朝蛇口は皆無口になる
成人式兄は少しも変わらない
たんぽぽを見るとなんだか眠くなる
人生の地図を広げて入学式
かるた取り読み手はそこと言いたくて
まだ覚めぬ体に鞭打つ寒稽古
木枯しもおもわずはずむニューブーツ
野球部の時計がわりのオリオン座
秋の帰路影のあなたと手をつなぐ
運動会ひとりひとりが輝く日
父親の汚れた指に感謝する
つらいよと言えば母の目昔の目