伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十六回
佳作特別賞
水たまりその向こうには君がいる
帰り道雪がゆっくり落ちてきた
古時計あの日に戻して一度だけ
言えないよたった五文字のさようなら
ノートの字僕の心をえがき出す
オーボエを吹いてる少年ブロッコリー
病院で明日がくるのを待っている
雪だるま顔がみんなのキャンバスに
爽やかな地球を掴む足のうら
携帯の着信待つバレンタイン
涼風と一緒に登る立石寺
恋の種蒔いたら一つ咲きました
言葉より音楽だよな青春は
疲れた日あなたを見て充電
割りばしをきれいに割れない俺がいる
いとことの本気でやった雪合戦
夕焼けの空に心を打ち明けた
あの花は小さいころも咲いていた
友の顔浮かんでは消え年賀状
桜咲く好きな先輩旅立つ日
カキカキと黒板に書く自己紹介
トンネルを早く抜けたい受験生
お年玉の査定がかかる大掃除
快音とともに飛びたつアブラゼミ
文字を打つ指躍らせて送信ボタン
今夜だけ一緒に泣いてね朧月
日本の先行き不安なおじいちゃん
にじを待つ雨やどりなら楽しいな
透きとおる楽器の音と共に眠る
冬の夜ひっかくように流れ星
ままごとの日なたの匂いをなつかしむ
父の背を追いかけ入った弓道部
昔から万能薬の深谷ねぎ
雪がふる心の中はドキドキだ
雪だるま君の個性が表われる
夜の底急行列車月を追う
「必勝」と左手甲に熱い夏
レンコンの穴から見える青い空
障子貼る祖母の背中はまだまだ大きい
ぷにぷにぷに猫の肉球ぷにぷにぷに
横にいる母との距離が狭くなる
カラフルな広いキャンバス春の色
訳もなく叫びたくなる十七歳
初スキー転んで雪に食べられる
書き初めのにおいが部屋に広がった
じいちゃんの星ふる里より栗届く
横向くと着ぶくれしてる君がいる
初手編み首のあたりがくすぐったい
淋しさを根雪が隠す十二月
鹿威しカコンと響き跳ねる鯉