伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十一回
ユニーク賞
お母さんひとみの中は私でいっぱい
チョコレートのこりのひとつ犬の口
竹馬はなぜか後ろにすすんでく
はいく見てこたつで笑う母にくし
今夜また主役になるよゆめの中
赤ちゃんにお手といったらお手をした
春休み今の気分はのびたゴム
カモ達が月のひかりで会議中
木のぼりしたよ空が近くなったよ
妹がどんぐり拾う目が丸い
サンタさんこれはいらない問題集
沖縄の子供がねがう白い雪
よういドンピストルの音けつまずく
ポロポロと歯がぬけていくぼくの春
コタツムリなかなか人になれません
鬼は外最後の一つは口の中
はだかの木見てるわたしもはずかしい
ゴールキーパーシュートの瞬間でかくなる
弟を湯たんぽがわりにする母よ
教科書にのってるお寺が目の前に
近道を作ってくれた田んぼ雪
空みてたとってもおなかがすいてきた
温暖化進んでいます蚊が元気
雪サクサクその日の僕をスタンプし
試験中頭の中は冬景色
みかんむくそして日本も脱皮する
布団との仲を引き裂く母の声
かずの子がまだ口にある昼さがり
赤とんぼ私のかげと遊んでる
汗におう部活帰りのバスの中
ランドセル小さい体がうれしそう
冬の朝母の布団に入ってみた
枕元ゲームボーイと体温計
国籍がわからぬ髪の女子高生
「太ったな」休みあけるたびそう思う
豆まきで追い払われた恋だった
傷口はいつも見てから痛くなる
宿題と暑さ残して夏終わる
うちの猫自分が猫だと分かってない
同じ格好で寝息をたててる父と犬
ぼろぼろのかばん最後の登校日
酒飲んで今夜も父は評論家
こんぺいとう私の中に天の川
寝るねこを横目に見ながらコート着る
いつまでも炭酸水でいたいけど
最近のめだかは川で学級崩壊
さっきまでの空気が「ふっ」と壁に変った
暑いのはよりそうさくらんぼのせいかしら
春風に押されてできた逆上がり
おばあちゃん今も都会にあこがれて
思いのほかいい奴ウツボカズラです
「ごめんね」で心の氷がとけてゆく
クリスマス隣の家が派手になる
ねえちゃんが少しねえさん成人の日
北風はクールミントを噛んでいる
心の中幾何学模様であふれてる
観覧車一人背広が乗っている
目の前で一芸みせる赤とんぼ
忘年会留学生の箸とサジ
赤ん坊天使のようで悪魔です
お母さんあなたは我が家の常備薬
今度こそ見えたと思った赤い糸
未来派を名乗ってみたが内弁慶
化けるなら雪女より山ん婆よ
“おーいお茶”お茶じゃないんだ私の名
肉よりも魚好きです海なし県
うろこ雲うろこ整へ海に出づ
自販機のHOTの赤や神無月
手の平にうふふ家族の顔の栗
羽広げ孔雀の尻の小さかり
ブラジルに一族増えて雑煮餅
こんなにも視線は自在サングラス
香水を吹き騙されにゆくわたし
男子誕生石持ちあげる霜柱
いつからかかんかん虫を見て飽きず
梅真白茶髪赤髪空真青
遮断機の向うの人も大あくび