伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十一回
都道府県賞
山口県
おだまきのつぼみロケット発射台
牡丹芽に少女が二人立ち止まる
夏が来るでもその前の海が好き
徳島県
寒くなりやたらと声がでかくなる
カンナには赤き不実がはみでてる
三月やオムレツの黄は自我の色
香川県
ドングリのワルツ聞こえる並木道
付け爪を置いて教わる夕支度
迂回して休耕田のれんげ踏む
愛媛県
仲直りのきっかけにする蕗の薹
猫ほどのプライドも無く着膨れる
音たてて大豆の乾く秋日かな
高知県
まねき猫恋の相手はまねかれず
少しづつ青が混ざって春になる
太い手の祖父の育てし冬すみれ
福岡県
土筆煮が上手な祖母がいたんだよ
制服が昨年の春より似あってる
考へる河童の皿の苔枯るる
佐賀県
風鈴は風のお客のベル代わり
時止まれ横にしてみた砂どけい
ほめられた日から柿むく父の前
長崎県
あおむしが寝袋脱いで春がくる
行進の息もはずむよ秋日射し
思い出は洗濯しても色あせない
熊本県
夕やけが山にパクパク食べられる
夫婦には賞味期限はあるのかな
紫陽花に小さい家が住みついた
大分県
たんぽぽのような人生やってみたい
第一歩ふみ出すべきか霜柱
春風にゆられて猫と夢の中
宮崎県
かげろうが鉄のパイプをぐにゃっと曲げる
ヒロインのセリフうつって夏きたる
潮騒を呑み込んでいる蜜柑山
鹿児島県
絵馬に書くほんとの願い書けなくて
けっしょうは雪の心の形だよ
木漏れ日がワルツを踊る夏の午後
沖縄県
「キスしていい?」いきなりだから記号のよう
迷いつつ飛び込む胸に春来るか
ヒト科われ朱に交わりて風邪ひかず
ドイツ
神さまが色をこぼすと虹になる
イギリス
星ってね落ちてこれない花火かな
ブラジル
落葉焚くたのしみ父に残しおく