伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十一回
都道府県賞
福井県
白シーツもう冬というはだざわり
星飾るために枯木となりにけり
生き甲斐を子から妻に戻してる
山梨県
花火より隣りで笑う君を見る
霜柱踏むと地球がやわらかい
前列は大根並び網干場
長野県
うたた寝や母は大の字父くの字
初詣孫は出店を拝みけり
母からの長き手紙や帰り花
岐阜県
けんかした携帯電話とにらめっこ
五十音はじめの2文字送ります
たっぷりと雪あり一人ぼっちかな
静岡県
山の日のやすらぎを背に餅を切る
けしごむを使いきったら春がきた
二千年生きてきたかに錯覚し
愛知県
北風や背中にちから入る朝
せみとりの思い出と切られたやなぎの木
梅咲いて鳥も素足でやってくる
三重県
お互いに言葉を待ってる夕陽公園
七草を毎年覚えまた忘れ
湯けむりの底に拡がる星の海
滋賀県
きらきらとコンペイトーがおちてくる
結婚って昔は酸素今空気
連凧のしどろもどろの離陸中
京都府
菜を間引くごとに詫びてる指の先
このままで止まれと願う孫の笑み
駄菓子屋のルビーの指輪夏に入る
大阪府
まんげつがしんくに染めたうさぎのめ
触角にさわらないでね十七歳
風花や彼女のそばにいつも猫
兵庫県
風車風のワガママ聞いている
素直になりたくてぶらんこにゆれてみる
唇は盗むものなり螢狩
奈良県
きりの中あるく人間のっぺらぼう
浴衣着て背筋を伸ばし君を待つ
いつのまに色があふれてそこに春
和歌山県
ふろにみず入れてはじまった二千年
大そうじ昔の自分を発掘す
三世代五月の風の地鎮祭
鳥取県
春一番南に私北に君
供花の百合枯れて素足のマリア像
島根県
春風が外に出ようとさそってる
大草原弱肉強食家もそう
流れ星見逃す一瞬腕のなか
葱坊主つまずいたっていいじゃないの
岡山県
雨上がり花を届けにぼくは来た
捨て猫の疑い深し草の花
炎天へ日のいけにへの電工夫
広島県
虹を見た私の目玉も七色だ
ただの星君がつなげて白鳥座
春疾風港に残る力石