伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十一回
都道府県賞
北海道
ひとめぼれ一本はやめる朝の汽車
花冷の美術館印象派展
雪卸し終えて柱に触れてみる
青森県
家のまど画用紙になる季節かな
触れたくて花びら払うふりをする
束縛を愛というなら独りがいい
岩手県
木のかげにかくれてみれば木の心
春の月そうだ明日はホットケーキにしよう
わが娘杉の木みたいに育ってます
宮城県
コート着て出かける母の準備待つ
ゴールデンウィークという孤独あり
妻逝きて何か足らざる雑煮の具
秋田県
まだ早いチューリップの芽に土かける
空はドア村中どこもれいとう庫
方言を異国と思う北の旅
山形県
いちご食む君は童の顔になる
ふるさとやサクランボだけ全国区
ひと息に酒吹きかけて祭笛
福島県
マスクして出てきた彼女また休む
飴玉は横町の味燕の子
この道は抜けられませんと蟇
茨城県
黄落やひとさし指で弾くピアノ
見る人を子供に帰す雪が舞う
眼と耳を残して逃げた雪うさぎ
栃木県
脱穀のほこりかぶった父の肩
風船は自分を雲だと思ってる
腑に落ちぬことがまだあり心太
群馬県
夕ぐれにおいてきぼりのさおのシャツ
帰り道倍の足音倍の影
月眺め私が私になる時間
埼玉県
いきとめてぞうきんしぼる冬の水
青インク一夏載せてはがき出す
雪吊や夫婦関係異状なし
千葉県
父の目が大丈夫だと肩を押す
すり減ったわたしを癒す日向ぼこ
しゃぼん玉いびつに生まれ丸く飛ぶ
東京都
街中が赤くなったら帰ろうか
箸やすめこの青空をうんと吸う
窓磨きキリリと冬を取り戻す
神奈川県
とどくならあそこの雲でねむりたい
毛糸ときまた母の手が仕事する
ポケモンに木の実交りておもちゃ箱
新潟県
君の背と同じ高さで見る景色
君の言葉も入れておきたい冷凍庫
桜吹雪一枚一枚みなさくら
富山県
少してれるけい老の日のかたたたき
青信号まずはツバメがわたります
少し痩せ少し大人び冬帰省
石川県
水面にもう一本の桜あり
遅刻したいつもの雪がきれいだった
幼子の握りしめたる未来かな