伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十一回
審査員奨励賞
つぎの日はおじぎしている雪だるま
やわらかい雪をスコップでかためた雪だるまだったのに、次の日は雪がとけ、うなだれておじぎしていると言ったのがおもしろい。
冬空に嘘をついてる昼の月
シラジラしい嘘、という言葉をふと思い出しました。昼間の月は、その白塗りの嘘のかたまりですね。
旅行から帰ると部屋が拗ねている
旅行しているあいだは部屋はほったらかし。だから「拗ねている」。帰って部屋に入ると、それがよくわかるのだ。
洗面器双子の月を捕らえたり
洗面器に写った月を、なるほど「双子の月」と着眼した俳諧味あるユニークな表現の手柄。作者の遊び心がうかがえます。
大洋をいきもの渡るうるうの日
人間が決めたうるう。そこに自然の大きな歪み、時の狂いを予感し、生命力の理不尽な巨大さをも表現しています。
青嵐少年ふいに夢かたる
ふいに夢をかたる少年、この少年を愛しく、そして若い色気も感じました。すてきな青年、そして大人へと…育って欲しいのです。
業平か式部のものか落し文
式部は平安中期の恋愛歌人和泉式部か。落し文を在原業平か和泉式部のものかと言ったのが面白い。