伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十回
審査員奨励賞
さんまなのなのに骨だけむかでなの
子供の王国から生れた俳句です。それ以外の何物でもありません。子供の素直な感性に今年も見事に打たれました。
照れながら切った髪から冬の風
いかにも十五歳の少女、という感じが良かったです。その歳だから生れたという俳句が作れたら楽しいでしょうね。
たしかめに冬の寒さとこれからを
未来の厳しさを受けとめながら、確かな足どりを確保している姿勢。十代の覚悟が時代を見事に映しています。
空みれば花粉達ほら乱婚だ
花粉がいっぱい飛び散っている春の空の明るさ。それをすこし戯けて表すとこうなる。「乱婚だ」は乱暴な言い方だが、気分率直で快い。
裸にもなれる私が水着着る
裸は自分の正味。今、裸の写真集を志願して撮って貰う女性が多い。なぜ水着を着るのか、自然のままの私でいたい隠された本音。
花粉症ピカソの青の時代かな
ピカソ(1881~1973)の青の時代(1901~1904)は二十代初期。青の時代を花粉症とは言い得て妙。面白い。
白い歯だ多分善人だと思う
「多分」という一語が俳句らしくなくて面白い。善悪を計るモノサシのような一句だが、この「多分」で救われている。