伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第九回
優秀賞
小学生の部 (幼児含む)
飛行機が空のチャックをとじている
雪のさか道ペンギンになって下りる
参観日いつものオレが出てこない
カチカチと時間も緊張するのかな
とうさんのひげで大根おろせそう
きもちよく飛んでる鳥とねてるぼく
ころがせばよっぱらってるじゃがいもが
中学生の部
空気までみがいたようなお正月
夕日燃え見てる私に引火する
自転車をみがく庭には春一番
冬を描く画用紙の中全部白
こがらしが吹いたというがどの風だ
夏の空俺の住所は旅行中
妹がおこったように餅焼ける
高校生の部
伸びきってひかりとなりし凧の糸
冬だからその手に触れていいですか
君とでもやはり苦手な心太
空よりのエレベーターのごとき雪
オートバイそのまま流れ星になる
父のあと同じ鏡でヒゲをそる
風強しにぎりこぶしの中の春
大学生・専門学校生の部
切り取りて永久保存したい夜
悩み事衛星軌道を回りけり
またすぐに会いたい蜥蜴の尾のように
青インク確めたくて日記買う
ぶらんこの奪り合ひ泣いた方が乗る
雪解音神の欠伸に似てゐたり
そしていま翔び立つための青薄
一般の部A (40歳未満)
パワーショベル口からこぼす曼珠沙華
木の葉散る地球に毛布かけている
百合匂うことも胎児に伝えたり
初氷こだわりて踏み会いにゆく
恋しくて一番朱い林檎買う
会う人にみな翼あり春の夢
コピー機で拡大解釈縮小す
一般の部B (65歳未満)
福引きのつぎの玉まで見て帰る
Tシャツを干す青空に貼るように
さみしさはさみしいままに煮凝りぬ
どぶろくの赤き製造年月日
曲る理由あるとも見えず蟻の道
風花を金魚のように吸う児たち
弱き蚊のうなりを片眼あけて追ふ
一般の部C (65歳以上)
はだしでいるとじんじん星が匂ってくる
回転椅子どこでとめても囀れり
草と口喧嘩しながら刈っていく
囀りの木と呼び実の名は知らず
虎落笛天に夜汽車が発つて行く
きりぎりすお前は膝が元気だね
白息を摑み合うごと手話かわす