過去の受賞作品

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  • 過去の受賞作品 第九回 

伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

審査員奨励賞

金子兜太選

おやと子がおなじ音してはなすする

大阪府 鳥枝 明弘 9歳

「はなすする」に汚い感じがまったくなく、親と子の体が一つになったような懐かしさがある。親子だなあ、と思う。

吉行和子選

あくびして初めに戻ったおせっきょう

茨城県 根本 有紀子 12歳

このように、クスッと笑えるような作品が好きです。ヤンチャな十二歳の女の子の姿が目に浮かびました。

いとうせいこう選

花疲れ腕時計から外されて

山口県 福田 陽子 24歳

主体が腕時計になってしまうような曖昧な時間、機械の重さを取り去った瞬間の開放感。見事な句ですね。

松本恭子選

夏シャツに抱かれ背骨に触れてみる

埼玉県 岩崎 陽子 32歳

背骨のコリコリッとした感触。レアな愛の感触が伝わってドキッとします。愛の喜びが素直に詠まれてます。

土屋耕一選

つくしんぼ天の岩戸が少し開く

東京都 渡部 洋一 56歳

つくしという季語は、なんとなくセクシーである。この一語をカギに使ってぬけぬけと神話の中へ入っていった一句。

津根元潮選

涅槃図とどこか似てゐる原爆図

千葉県 白川 龍樹 60歳

涅槃会に用いられる釈迦入滅の図は、理想や悟りの反面、すべて消滅するという非の構図でもある。かなしくも原爆図の非に通じる。

森澄雄選

一生の途中に昼寝してゐたり

東京都 緒方 輝 70歳

一回きりの人生の中、無駄な昼寝、とよまず、大きなユーモアとしてよめば、また別の趣きがあり、面白い。

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