伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第九回
審査員奨励賞
おやと子がおなじ音してはなすする
「はなすする」に汚い感じがまったくなく、親と子の体が一つになったような懐かしさがある。親子だなあ、と思う。
あくびして初めに戻ったおせっきょう
このように、クスッと笑えるような作品が好きです。ヤンチャな十二歳の女の子の姿が目に浮かびました。
花疲れ腕時計から外されて
主体が腕時計になってしまうような曖昧な時間、機械の重さを取り去った瞬間の開放感。見事な句ですね。
夏シャツに抱かれ背骨に触れてみる
背骨のコリコリッとした感触。レアな愛の感触が伝わってドキッとします。愛の喜びが素直に詠まれてます。
つくしんぼ天の岩戸が少し開く
つくしという季語は、なんとなくセクシーである。この一語をカギに使ってぬけぬけと神話の中へ入っていった一句。
涅槃図とどこか似てゐる原爆図
涅槃会に用いられる釈迦入滅の図は、理想や悟りの反面、すべて消滅するという非の構図でもある。かなしくも原爆図の非に通じる。
一生の途中に昼寝してゐたり
一回きりの人生の中、無駄な昼寝、とよまず、大きなユーモアとしてよめば、また別の趣きがあり、面白い。