伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十六回
佳作特別賞
理科室の骨があくびをしてる午後
お年玉手に持つ祖母を見ないフリ
名前書く春の教室緊張感
霜柱日々の怒りを受け止める
星の中首を痛めた地球人
友達と旅気分になるボックス席
一年で十五センチの別世界
亀鳴くや伸ばす手足はどこ目指す
丸まった祖母の背中を包むTシャツ
文豪に語彙で負け越す夏休み
常緑樹ずっと未熟な訳じゃない
ハンカチに朝を香らせまた一歩
私だけ取り残された蝉時雨
煩悩の数だけたたく電卓を
逃げ水を摑まえてみたかった猫
夜行バス夏の月まで連れてゆけ
あなたには三百円のバレンタイン
私の目奪って喜ぶ月兎
去年より丈の短き春コート
冬眠から覚めたひとから春眠へ
遠ければ遠いほど月はきれいです
あんずジャム買い五年ぶりのスキップ
せせらぎへ手紙のような笹の舟
ちびっこ怪獣つかの間の三尺寝
イヤホンは繋がっていた遠い夏
春愁やクラス替えのにおいがした
左手にたんぽぽ笑う小怪獣
三日月の角の辺りが僕の土地
虫と子が譲り譲られ芋畑
春風やあなたで飽和する心
チューリップ言えない恋は火のかたち
ジッパーの中のジッパー開けて春
血流と歩調を合わせるウォーキング
狛犬にそっと耳打ちてんとむし
キャラメルの広がる風味いわし雲
春の土くすぐったいとかいてある
百日紅負けず嫌いが通る坂
氷河から地球の汗が染みてくる
体から音符出そうな木の芽時
錆びついたレールの先に故郷あり
清明の鯉は口より立ち上がり
皸に無洗米てふ味方あり
人恋しアスパラガスに塩コショウ
手のひらはやさしい窪み青蜜柑
しゃちこばる顔認証や山笑ふ
幾星霜春を食べたる恐竜は
煤逃げと決めたる朝の手際良さ
鯛焼の尾に生き残る余力あり
さなぶりや父は五人の髪を刈る
ゆるキャラも法被の人も花粉症




