伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第三十六回
佳作特別賞
春のどあ開けてみたいなでもこわい
雪積もる静けさ深く森眠る
チョークの粉あくびは午後の欠けた月
バタフライ水を裂きながら飛び回る
大空にゆうひが踊るアップルパイ
教室の窓を引っ掻く飛行機雲
沈丁花矛盾だらけのこの手紙
鞄より重たい瞼冬の朝
藤の花おさげの髪と揺れている
しもやけや私の手にはクリームパン
だんらんを知る由もない雪だるま
キャンパスツアー心にちいさい緊張感
深い夜電子世界の旅に出る
年越しを忙しく過ごすシャーペンと
雪合戦雪は積もらず土合戦
愛犬が春まで全部食べちゃった
儚いなふと呟いた秋の暮
北窓をひらいて春を味見した
何でだろう君が笑うと涙が出る
哀しみに寄り添う心秋の月
ガーベラとおしゃべりしてる一歳児
鞦韆の出口はいつも空の中
ハイタッチあいさつしてるはたと風
目ん玉がとび出る如くふきのとう
歌う声まだばらばらな新学期
雪合戦当たると急に泣くリーダー
試験後の白紙のような冬の空
風の道リニアの如しオニヤンマ
蜜柑をひとつ嘘泣きの下手な子に
縄文のこの地に立ちて春の風
傘閉じて旅の狭間のタンポポに
電波塔みたいに光らなくてもいいか
猛ダッシュ電車にすべり込む綿毛
箱庭や天気予報は雨模様
ピーマンさんもといた場所に帰りなさい
寒い日に透明な部分踏んでみる
小さい手疑問とどんぐり詰めこんで
菜の花の蕾が開き空溶かす
食卓に椅子が足りない大晦日
団子持つ手に降る桜トッピング
椅子ばかり語る教室春遠し
新緑の余白に光る風の文字
曖昧なものを許せず青蛙
わやわやと手足の生えたランドセル
夏空をおんぶの足がノックする
小春日の肩に赤子のげっぷかな
気嵐やカップの中に海がある
地球とは宇宙の卵大旦
初蝶の浮力ほどでも勇気欲し
とけながら合唱楽しむつららかな
