伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第三十二回
都道府県賞
広島県
えんぴつでかみいっぱいに字をかこう
ショベルカーつめをたたんでお正月
交さ点見えない秋とすれちがう
ひまわりの中にいる自分と外にいる自分
ペンとめる遠くはなれた花火の音
山口県
引き算をするみたいだなリンゴむく
あやとりの東京タワー冬休み
右巻きのつむじ劣勢八重桜
春水を全身で飲む子犬かな
天麩羅のかりりと揚がり文化の日
徳島県
ゆきだるまなにかしゃべってほしいなあ
あやとりをステイホームでぼくとはは
十二月とても大きい冬のにじ
宿題はバナナが色づく時までに
ふるさとに狸の民話とろろ汁
香川県
医者不足僕の夢への選択肢
テレワーク料理が上手になった父
幸せはかくれ上手で気づけずに
黙々と父と登れば山桜
何学ぶ石より重いランドセル
愛媛県
テントはるいつもとちがう星の数
円錐の体積求む春隣
飼い犬を「ワサビ」と名付けた冬の朝
渡り鳥私も行き先欲しいです
新緑や小指を伸ばすバイオリン
高知県
好きな子がくれたどんぐり宝物
冬休みカバンを開けずに最終日
卒業し長い階段降りていく
蜻蛉入る校長室の戸のすき間
キャベツ抱きでんぐり返る地球かな
福岡県
たけのこが汗かきながらのびていく
なにもないさみしい木のため春よ来い
訳もなく心が踊る十二月
頭から羽が生えてる三歳児
あいまいに一年を閉じる冬障子
佐賀県
雪だるまたった三日で旅立った
ひらひらと雪のハンカチ降っている
凩で動く葉はみんなさびしそう
シーソーのリズムに合わせ枯れ葉舞う
日曜日ひとつ飛ばして桜散る
長崎県
たんぽぽのひっこし業者風よふけ
見慣れない君の横顔花火色
新しい地球が欲しいしゃぼん玉
古文書に謎数多あり吊るし柿
空を飛ぶ夢が見たくて羽布団
熊本県
うぶ声も天使のラッパ愛おしい
鶯の声が聞こえる実習日
歓声を空気の額に縁取りて
飛行機の腹を見上ぐる布団干し
落椿一つの銀河滅びけり
大分県
薄氷に誘惑された俺の足
終電を逃し桜のせいとする
さよならの笑顔黄色いチューリップ
手びねりの花器につがいの黒揚羽
凍る手に軟膏厚く塗り寝入る
