伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十二回
新俳句フォトの部大賞
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けど明日は光の中の古写真
妹と一緒に海に行った際に撮影した写真なのですが、この写真を後に見た時、自分自身はその時の情景を覚えていますが、第三者にとっては単なる古写真でしかないのだろうな、という気持ちを俳句にしました。
新俳句フォト作品は、写真と俳句で一つの作品になりますが、方法論が決定的でない中、この作品は絶妙に写真と俳句の関係を意識して、双方が明確な形で構成されている繊細さが魅力です。ひとつの手法として審査する側にも素直に入ってくる素敵な作品でした。 (選評 浅井 愼平)
新俳句フォトの部優秀賞
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かなぐり捨いのち節約香れセッケン
当たり前のように使い捨てだったマスクが、新型コロナの影響で手に入らなくなり、仕方なく手元にあったマスクを再利用。せめてマスクの匂いだけでも、と自分が好きな昔ながらのセッケンで手洗いし干していたら、さっと風が吹き、マスクからセッケンの力強い良い香りがしました。「よし!新俳句フォトに送ろう!」と前向きな気持ちにさせてくれた時のことを詠みました。
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くれよんのいづれ愛しき夏の果て
この俳句を作り、写真を撮ったのは、幼稚園に入った娘の初めての夏休みのことでした。有り余る時間をもてあまして、クレヨンを触って寝転んでいるところが楽しそうでもあり、気だるそうでもあった、来年は中学生になる娘の幸せな夏休みの風景です。
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黒豆をつまむ一人のこたつかな
年末は、長野に住む家族と富山に住む娘と共に、静岡の主人の実家に行き、母のおせち料理で賑やかに年を越します。今年はコロナ禍で、娘は帰省できず、実家にも行けず、それぞれの場所で新年を迎えました。黒豆を食べながら、娘や一人住まいの母も黒豆をつまんでいる頃かなあと思ったことを詠みました。