伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第三十二回
佳作特別賞
ブランコにたまった空気ふきとばせ
年明けてみんなでたてよう親指を
大嫌い君の笑顔とクリスマス
セーターを脱いだら髪がハリセンボン
羊雲布団のぬくもりつれて来る
春一番あいさつ交わす交差点
金目鯛のにらめっこには勝てません
始業ベルつばめのように滑り込む
パソコンの音で感じる冬の夜
アラームの音大きくし冬支度
朧月不安が募るオンライン
すぐ嫌な言葉を言って風車
大地蹴り天を仰げ向日葵よ
マスクごし水仙の香確かめる
流れ星加速していく恋心
背伸びして宇宙の裏を覗いたの
俺の手に切り傷入れた冬将軍
大掃除見つからないで通知表
袖濡らし君は金魚とおにごっこ
納豆をかき混ぜながら天気予報
風鈴の音祖母との記憶よみがえる
売れ残りいいえ私は冬林檎
靴の色から順々と春めけり
河川敷門出祝いに土筆かな
雨上がり庭を貫く夏の蝶
殴り書き楽譜と夏シャツ響く音
弟が雪よ降れよと謎儀式
筋肉で人生変わる高校生
初恋はアクリル板で実らない
数珠玉のお手玉一つ落ちる音
傘ひとつふたりのために雪は降る
物思い夜のパンジーひとり泣き
脳内を空つぽにして長閑かな
逃げ水やサイドミラーに映る過去
ハンミョウを追って着く先秘密基地
紫陽花が脳裏に浮かぶビルの風
薄明に産声ひとつ虹の雨
春風が都の跡であそんでる
電線の椋鳥たちが密です
還暦をブルージーンズで祝う父
カモメ飛ぶ縦列駐車の指南役
草摘めり顔だけ知つてゐるひとと
筆先に染みるインクが春となり
春の雲ふたつに分かれ資源の日
クラーク像のかすかな反り身鳥渡る
大物になるかとポッケの博物館
箱根山トンボに視界を奪われて
大南瓜抱き娘を訪ねけり
降車駅あと一ページのもどかしさ
小春日のきょうはなにもしない宣言
