伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第二十八回
佳作特別賞
夏休み思い出すべて青いもの
風の中円状に舞う花日和
天の川星の数ほど愛がある
寒いから太陽もっと近づいて
稲光数える度に近くなる
赤蜻蛉いねかりのじゃましてくるな
冬の日に静かなまどがゆれている
竃猫にくめぬ顔で外見てる
雪の上私の前に小鳥の跡
ふきのとうみんなに言うよ起きなさい
向日葵は元気に伸びる子供みたい
服は嫌犬がささやく冬の朝
大根の根のように太い意志をもつ
雪合戦痕跡見えるボンネット
太陽がにくいと思ったあの時が
かき氷舌で感じる夏の時季
虫の音をはさんで閉じる文庫本
雪だるまたとえとけても親友だ
かえるがね家に帰るとへんじした
一人部屋虫の声しか響かない
自動車が大きなアリに見えてきた
朝はやく父と積みこむスキー板
心にもチクリとささる栗拾い
午後三時体に流るる夏の風
絵をかくと知らない部分が目に映る
じゃんけんぽん負けても明日は月曜日
大寒波まずはつま先攻めてくる
指揮の手にそっと集まる秋の音色
鉛筆が日付をまたいでこえていく
母の手はたまねぎのにおい夕暮れ時
我が影を風が吹きぬけ冬近し
一本に願いを込める初げいこ
追いついたボールの先に霜柱
宿題を忘れた空はひつじ雲
つくしんぼ春のチャイムが鳴りました
少年を日向へ誘う揚羽蝶
冬の朝こたつの中の体操着
群青の無限に翔る渡り鳥
節分や途中で切れるテープのり
弟の音読練習冬の朝
窓ガラス小さな手形の忘れ物
父よりも小さく見える雪の山
白銀の二つの足はうさぎかな
ふるさとへ向かう二つの麦藁帽
雨上がり足元見ると鰯雲
麗らかな光にとける五時間目
つばめ飛び上がるサドルに気づく時期
天川夜空の浴衣の白い帯
ひまわりが自分の頭をこえていく
スミレ摘み小さな幸せ集めたい
