伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十八回
佳作特別賞
花衣はらりと脱いで告白す
一言が胸にささった秋の暮
初恋にゆれてる私シャボン玉
君思ふ椿のような恋心
白鳥を引き連れ流れる北上川
そびえたつ大きなビルに赤とんぼ
霜柱踏み楽しんで靴汚す
初雪は千の天使の涙かな
思い出をセーラー服に紡いでいく
ファインダーのぞいて切り取る夏休み
カレンダー気づけばめくる月がない
降りしきる雪の中でも弓を引く
大根を朝抜く母のド根性
豆まきだ家にはたくさん鬼がいる
ほうれん草土の匂いの体操着
君が言う銀杏吹雪もありかもね
うすくはる氷のようなわが心
鰯雲いつもみんなの帰り待つ
かの本の十ページ目の紅葉かな
金曜日わざと落葉を鳴らす帰路
昨日よりきれいに笑うカンツバキ
また一年去年の思い出なぞる冬
教室の机が全部コタツなら
消しゴムをひろってはじまる春の恋
誕生日今日の私は女王蜂
お揃いの服を着るのも弥生まで
七草を食べて今日からダイエット
秋日和今日も数式解いている
かまくらにギリギリ入るお父さん
渡り鳥遠く見つめて母の歌
天の川時代の流れが見えてくる
ひまわりは君に向かって一直線
冬桜ビルの隙間に凛として
太陽の色に染まったかき氷
青春のせの字も出ない夏休み
日傘からみえる姿は海のよう
夏草が俺も俺もと手を挙げる
陽炎をかきわけ進む独り旅
制服も次の春にはコスプレに
赤とんぼ今年も父を連れてきた
帰省した兄の背中が大人びて
移りゆく私の心薄紅葉
風鈴の少し静かな演奏会
桜散る僕たちはまだ夢の途中
父帰省うんちくばかりのこたつかな
空抑ぐ鯨くすぐる星明り
明暗を彷徨うように蚕眠る
清らかに世界を照らす朧月
人混みにさがした背中は違う人
ですますをまずは選びて初日記