伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第二十八回
佳作特別賞
アネモネやいつまで君を待つのだろう
朝焼けに一の文字書く渡り鳥
おはようが寒いねになる冬の朝
紙凧の行方を握る小さな手
春の風一人で歩む未来地図
遅い朝キラキラ光る卵かけごはん
日めくりの台紙が透ける大晦日
鋭角に空を切り裂く冬木立
三日月や夜空にぱくりとかじられた
夜に見た満月まぶしく目をそらす
夕焼けにからすの影が映ってる
手袋が外に出ようと言っている
仙人掌を手に持つような暑さかな
通勤の人の心は唐辛子
夏まつり未来と金魚が宙に浮く
赤とんぼ最近いないな都市の空
休日は電子の海で一泳ぎ
うとうとと春のうたた寝鹿おどし
水槽に浮かんだ金魚夏終わる
セーターが小さくなった冬苺
小豆煮る匂ひに目覚め祖母の家
名月を障子を越して透かし見る
手袋の編み目も心も透かす風
月を見てすこし寒いと笑う君
かけっこで先頭走る赤とんぼ
読書する私にかかる月の影
桜咲き恋の歯車回り出す
未使用のロッカーあけたらそこは夏
家の中ころがり目が会う昼の月
ブランコを木枯らしが揺らし人もなし
赤絵の具混ぜすぎたのか冬の空
大好きな本のページにもみじの葉
月だって十六夜だけははにかみ屋
コスモスに軽くふれては登校す
雨蛙飛んだ瞬間夏が来た
寒雀跳ねるあなたは毬の様
制服と期待ふくらむ春の道
背のびした春色スカート見てほしい
太陽が眠りを覚ます冬の山
山頂にうっすら積もる雪の花
石北の凍てつく峠を駆け抜ける
真似をしてつかう方言お正月
里帰り実家の廊下に昼寝猫
祖母に会う東北行きの窓に雪
木枯しの激しい風音ショパン弾く
飛んでいくわた毛も私も一年生
雪解けに君と奏でるシンフォニー
ひまわりはひみつきちへのみちしるべ
弟と秘密計画母の日に
こもれ日を思い出せない冬こだち
