伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十六回
都道府県賞
北海道
ななかまどふわふわ積もりて雪化粧
雪の中にじんだ文字をそっと読む
夕影の車輪が描く夏日記
飛車角が少年になるクラス会
湯のけむり程よく濃くせる冬至かな
青森県
心のおくみんなあるよ夢のたね
十和田湖の秋の灯ともす女神かな
子育ては生き直すこと木の芽時
白神の森はゆりかご青嵐
岩木山背負って唸る津軽凧
岩手県
初冬にはシベリアおろしの風がふく
じいちゃんのまがった腰に歴史あり
あをぞらをたたんでしまふ夏布団
雪かきの手をさしのべるあたたかさ
巻貝の中はからっぽ星祭
宮城県
帰り道どんぐり一つ秋一つ
ひまわりも君の笑顔がまぶしそう
母の日に無言で寄りそう台所
故郷の白い息吐く暖かさ
金の田に刺繍をなせし赤とんぼ
秋田県
こたつでも交通整理必要だ
霧深し雄物川の神秘なる
目を閉じて小春日和を纏う猫
ふるさとの昔を語れ古今雛
君らしく生きていいよと草の花
山形県
ゆきだるまいぬもいっしょにつくったよ
母と猫同じ手触り冬の朝
トビウオの鱗に映る深い海
ブランコの子を夕焼けに放り込む
小さな手つかまり立ちて冬菫
福島県
書初で書くだけ書くぞ願い事
仕送りの荷物の全てが母の愛
きたのふゆ澄んだ瞳の少年の
大丈夫迷わず行けと曲がりねぎ
柚味噌に夕日のとろみ加へけり
茨城県
飛び箱をとんだ向こうに春光る
ふる里のいきいきとした筑波山
悠久の欠伸をしたり帆立貝
ぎこちなく並ぶ編み目があたたかい
息吸つて大きく吐いて除夜の鐘
栃木県
なわとびを数える母が息切れる
言いなれない言葉をおくった母の日に
「あっ」と言い握るその手にクローバー
山笑うくすぐったそうな風走る
鬼怒川の水に色あり初紅葉
群馬県
流星は神様だけの覗き穴
金魚すくいすくう私も目が泳ぐ
洗いたて輝く木々は雨上がり
広い背に落ちては甘い金木犀
退職の母をねぎらう甘納豆
埼玉県
初夢をおぼえていようとねむれない
まだ少し夏が息する新学期
春眠し象形文字が連なった
夕焼けは僕が塗ったと君に言う
うちわから遠いむかしの風が来る