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受賞作品

伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

審査員賞

吉行和子選

マネキンがスキップしそう春の服

東京都 高徳 サラ 9歳

高徳サラちゃん、楽しい俳句が出来ましたね。春の風が、ふわっと私を包みましたよ。サラちゃんも、お気に入りの洋服を着ると、スキップしてしまうのかしら・・・。私も子供の頃には嬉しい事があると、いつの間にかスキップしていました。なつかしい思い出です。

黒田杏子選

花びらがもぐらの家をノックする

東京都 石井 双葉 12歳

さくらの花びらともぐらの組合せ。類がありません。大地に散りやまぬ落花とその土の下に棲むもぐらの家族がこんな風に交流交信できることを12歳の小学生俳人に私は教えてもらったことを感謝します。ありがとう。

浅井愼平選

雨音と濃くなっていく海の色

神奈川県 三栖 七海 15歳

風景と作者のこころのうちとが抒情を伴って迫ってくる。流れていく時間と空間を見事に俳句にとじ込めている。美しく深い。十五歳の日の忘れられない思い出にもなった。

金子兜太選

心臓はガラス製なり冬の空

愛媛県 大瀬戸 絢子 17歳

高校生の部の「心臓はガラス製なり冬の空」を推したが、高い塔の頂上(最上階)にいて、冬の空と向かい合っている若い女性のおどけ気味の心情が、妙に新鮮だったのだ。ズバリ「ガラス製」が旨い。

金田一秀穂選

しつこくてめんどくさくて大好きで

東京都 大石 かりん 31歳

若いお母さんが子どもを詠っているのでしょうか。優しい言葉の積み重ねで、きわめて日常的で、しかも奥深い愛を表しているように思いました。「愛しさ」という気持ちを言葉に換えるとしたら、こんな風になるのではないでしょうか。

安西篤選

お義父さん挨拶の日も雪でした

静岡県 渡邉 雄一 31歳

「お義父さん」とは夫の父。作者は嫁の立場で詠んだとみた。初めて嫁として挨拶をした日の雪。今、この世に別れようとしている義父に、あの日と同じ雪に思いを込めて、別れの挨拶をしている。

江國香織選

シュークリームの中の明るい空気かな

埼玉県 足立 利行 61歳

絶妙です。静かでひそやかで心愉しい。これは確かにシュークリームの真実で、「空気」という言葉がいいと思いました。閉じられた一つの世界に、言葉で光をあてたような句。

村治佳織選

侘助や茶碗に白湯を注ぐ音

静岡県 大石 速美 96歳

ここでは日常の「今」の平穏な空気感が描かれています。90年以上の長い人生を歩まれながらも、ここにある今を切り取られる感性に魅かれました。この句のおかげで、侘助という植物を知り、また偶然散歩道で侘助を見つけました。句が何気ない時間に彩りを添えてくれたのです。

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