伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十六回
佳作特別賞
鬼は外つましく生きて豆を撒く
一服の茶碗の底にある春愁
山茶花やこの調子なら米寿まで
風花や捩りし反故の火にひらく
捌かれてなほ強面の大鮟鱇
今日の靴軽きを選び探梅す
不揃いの餃子の並ぶ子供の日
まだ生きておると七文字粽届く
携TELを持たぬ自由のさくら狩
麦こがし含み昭和を思ひをり
きのうよりきょうの赤さの椿落つ
早乙女の水の光に種浸す
東京から百キロという青田波
テレビ体操跳ねる所は省略す
たわむれに握りし妻の手かじかめる
ブランコを百回漕いで透きとおる
独りにはひとりの歩幅ちちろ鳴く
懸大根富士より高く投げ上げり
ご近所も出て送り出す入学児
朝市の毛蟹つぶやく寒さかな
初ひ孫立ちて一歩の梅便り
チューリップ一挙に咲いて放電す
六地蔵一人増えてる日向ぼこ
冬帽子老いの一日始まれり
暮れなずむ殿に着き遍路宿
黒潮へ一枝傾ぐ椿かな
僅かなる石の割目に春萌えて
頬伝う雨がやさしい昭和の日
坪庭に一丁前の春きざす
しぐるるや質屋の棚に招き猫
庭土の匂いやわらか夕立跡
夜の露天にのぼれば星となる
童謡のつどひ弾むや寒の内
起重機に吊され大凧宇宙まで
粕汁に酔ひゐし母を懐かしむ
水すましいつも平和な輪の中で
鯉のぼりひ孫の片言聞きながら