伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第二十六回
佳作特別賞
草むらとプールのにおい梅雨晴間
梅雨寒や素っぴんでいる自分の日
峰雲のあおぎて想う故郷かな
工場に数多のプリン春の月
子と笑うそれだけでいい秋の夜
夏を待つクローゼットのワンピース
初雪やアップルパイの香りする
雪うさぎ優しく包む赤い指
レスラーのごとき水着で海睨む
帰宅して出迎えるのは雪だるま
保育器の吾子のひとなき雨あがる
トマト喰い女子校時代を懐かしむ
電話よりメールが優し春の雨
春の風セーラー服が笑ってる
カフェオレの香りただよう冬の午後
まな板に夕焼け色の柿の皮
モノクロの記憶に赤き曼珠沙華
てくてくと歩けば春がやって来る
青っ鼻かまくらのなか並んでる
見入る雪積もる地平に和を願う
幼くも言葉鋭く白い息
ひとすじの万葉カナや枯葉落つ
短夜や後ろ髪引く夢枕
赤子とは曲線であり花蜜柑
包み込む月の明かりは母のよう
皺だけどなんか嬉しい笑い皺
ぶらんこは淋しがりやの指定席
諍いも一歩下がれば凪の海
鮮やかな街の緑に心湧き
不揃いのクレヨン踊り虹になる
涙粒溢れまいと耐える式
大吉の二文字を信じいざ受験
一幕がまだ終わらない虫の声
滝つ瀬や人それぞれの句読点
胎の子を風がなでゆく麦の秋
通知表何回見ても氷点下
妻いまも白いハンカチ夏来る
霜柱踏みに踏まれてなお光る
噴水や電子辞書よりあまたの字
泣きそうな我が靴音に霜の声
涼風にＪＡＺＺ澄みわたる港町
春風がくすぐったいよ！と笑う息子
ぱくぱくと金魚が夢を食べている
本物が前にあってもスマホ見る
引越しの書類に紛れ風邪薬
日向から祖母が手を振る春の夢
セーターの裾を握って引き止めた
週末は妻を気遣いレストラン
夕立ちをぬけろと駆けるきみとぼく
熊も兎も寄りて冬越すオモチャ箱
