伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第二十六回
佳作特別賞
星空の下で寝ころぶ夏の夜
コスモスのかげにかくれて手をつなぐ
海のそこしんしんとさす光の手
ブレザーのボタンの光春風に
雪降る夜町はまるで海の底
夏の空私はがんがん照らされる
落ち葉から聞こえてくる相談話
少年の片手に蝉と歪む街
物言はず未来を照らす冬の月
雪香る何か温もるこの気持ち
大根を抜けば今年もはや終わり
気づいたらひまわりと同じ背の高さ
帰り道転んだ友にテントウムシ
草原を獣のようにかけ抜ける
朝霧が行く道隠す異国の地
パサパサとからまる髪に冬の声
お正月駅伝見ながらねこになる
深海魚闇に飲まれて何を視る
菜の花はやさしいけれどたくましい
空風に吹かれても立つかかしかな
秋空を謎解きしてよシャーロック
機関車のように冬空背負って帰る
すず虫や羽をふるわせハーモニー
散歩道左コスモス右君の手
向日葵を抱えて笑う横顔よ
静寂に雉の呼び声澄み渡る
かき氷頭でこびとがさわいでる
氷柱がね光をあびて嬉し泣き
冬が好きみんながぎゅっとしてくれる
夏の海風切りながら波に乗る
新年の空に向かって背のびする
石地蔵ほほえむ顔に雪ぼうし
六時にはカラスが会議始めるよ
ペダル踏む今日も私は向かい風
祖父の家線香花火の音がする
昼の空余白をうめる桜かな
カエルの目とてもきれいなビー玉だ
産声を聞いて母の目涙あり
澄んだ空君巻き上げる水しぶき
帰り道明日へとのびる細い影
農作業蝉のなる木でひとやすみ
君は花ならば私は土になる
世の中の静けさ告げる鈴虫
この雪は君の仕業ね宇宙人
トンネルの番人には雪だるま
プレイボール陽炎の中へ駆けてゆく
古里の烏賊釣り船の灯火かな
静まれば線香花火落ちる音
白い雪いつもの道が光りだす
肌に刺す釧路の寒気矢の如し
