伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十六回
英語俳句の部 大賞
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Even birds
Walking gingerly
On ice 訳/ 鳥たちさえも氷の上はおずおず歩く冬に凍った水たまりの上に鳥がとまり、転ばないように恐る恐る歩いていました。鳥には羽があり、空を飛ぶ事ができるのですが、その鳥は自身が鳥であることを忘れてしまったかのようでした。
自然界の一つの発見です。空を自由に飛べる水鳥でも、氷の上を歩くときは、足がすべりバランスをくずしたりします。ちょっとこっけいですが、作者は生きもの同士の連帯感をもって、温かく見守ります。副詞"gingerly(用心深い/非常に慎重な)"がよく効いた達意の句です。
英語俳句の部 優秀賞
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I have grown older
inside the bathroom mirror
is my mother's face 訳/ 大人になってきた私浴室の鏡の内にお母さんの顔 -
I am leading a cow
But it doesn't want to follow me
We begin to run together 訳/ 雌牛を引いていくぼくについて来たがらないからいっしょに走りだす -
Winter night creek
duck family
shove and push 訳/ 冬の夜の小川鴨の家族が押したりつついたり -
Home of a friend
Mysterious fragrance
It was different from my home 訳/ 友だちの家わが家とはちがう不思議なにおい -
the blue sky
becomes near
on horseback 訳/ 馬に乗ると青空が近くなる -
birthday card
my son cannot read
grandma's writing 訳/ 誕生日のカード息子は読みとれない祖母の筆跡を -
a flock of sparrows
chatter soundlessly
air conditioning 訳/ 雀の群れが音なくおしゃべりエアコン -
inching
onto the frozen lake
spring moon 訳/ 凍った湖面へゆっくり移る春の月 -
library fly
at rest on
hamlet's soliloquy 訳/ 図書館のハエハムレットの独白の所に安らかにとまる
英語俳句の部 審査員賞
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I get up early
to leave my footprints
in the snow 訳/ 雪の上に足跡を印そうと早起きする降る雪に、翌朝の銀世界を想ってわくわくした作者。早起きして、まだ誰も跡をつけていない雪を踏み、自分の存在を刻みつけます。若いエネルギーで未来へ向かう姿勢がまぶしい句です。
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in the moonlight
jellyfish waver
sea of summer 訳/ 月光の中クラゲがゆらめく夏の海温かい夏の月夜の情景が目に浮かぶ。海中のくらげの柔らかな動きを思わせる「waver」という語の選択も秀逸。「sea of summer」と重なる「s」の音も、温かく静かな印象を与えている。
英語俳句の部 後援団体賞
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spring breeze
in the schoolyard with its nose bent
a paper airplane 訳/ 春のそよ風校庭に機首を下げて紙飛行機が