伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十四回
都道府県賞
広島県
秋の日をバッグにつめてしまいたい
冬の夜静かなことがこわくなる
仕事行く父の背中がまぶしくて
父の腕伝わる緊張バージンロード
顔は似ず同じ形で眠る父子
山口県
駅伝のしめったたすき今わたる
青蛙君もやっぱりバス待ちか
火照るのは鍋ではなくて君のせい
茜さす夕ぐれ雲が背中おす
湯タンポに悩みごとまで注ぎ込む
徳島県
妹のにおいはすきだいいかおり
時間忘れメトロノームとにらめっこ
産衣のリボン結び目春に入る
風吹けばサンバボサノバ天道虫
釣り銭にまじる鱗や年の市
香川県
さつまいもななめにはえるへそまがり
聖夜にて騒ぐことなく勉強す
菜の花や地球に落ちたしずくかな
名も知らぬ草にも春は花咲かせ
春の雪水玉模様のパジャマ着て
愛媛県
にいちゃんとつららをたべたひみつだよ
風邪ひくな祖父から届くみかん箱
春めいて万年筆の試し書き
北風や負ける日だってあってよい
風花や人の歩幅を広くする
高知県
青空に風穴開けて空っ風
「受かった」と告げる少年硬い礼
忘却の心の扉君たたく
目をとじて羊膨らむもう限界
どの花も自分を咲かす強さ有り
福岡県
おすもうさん足のうらより汗がでる
ふと落ちたもみじが栞に早変り
寒いねと笑う貴方と並ぶ影
ちっぽけなその背中に胸つまる
草萌や塩味ききし握り飯
佐賀県
ひかえめな君を重ねる梅の花
ランドセル背負いて道は上り坂
赤ちゃんの匂いが土産の初節句
画竜点睛最後に入れる幸の文字
しつけ糸愛をたっぷり縫ってます
長崎県
いねたちが重い頭であいさつだ
浮き沈み鼻をくすぐる風呂のゆず
幸せだ「ごちそうさま」と言えること
浮雲を見失うまで追い続け
ハイタッチで親子あいさつ秋高し
熊本県
冬将軍早く帰ってくれないか
大掃除配線からむ机裏
耳元を過ぎ去る夏を追いかける
春うららへのへのもへじ砂遊び
早起きの癖もてあます春の朝
大分県
鰯雲東西南北うめつくせ
おはようが心をとかす雪の道
待ち合わせ前髪直すカーブミラー
小春日に抱いてまどろむ犬枕
純白といふやさしさの梅日和